高齢化進展による社会保障費の増加…負担は誰が背負う?
高齢化問題と共に語られるのは、現役世代の負担増のほかに、社会保障給付費の水準。OECDによると、世界主要国のGDPに対する社会保障給付費(医療、雇用、高齢者等、OECD基準の9つの政策分野における支出)の割合は、38ヵ国中13位。決して低い水準ではありませんが、高齢者分野においても主要国で7位。高齢化が世界でも突出しているにも関わらず、日本の水準は高いとはいえません。
【主要国「社会保障費対GDP比」上位10】
1位「フランス」31.5%
2位「フィンランド」29.6%
3位「デンマーク」29.1%
4位「ベルギー」28.7%
5位「イタリア」27.6%
6位「オーストリア」27.2%
7位「スウェーデン」26.0%
8位「ドイツ」25.3%
9位「ノルウェー」25.2%
10位「ギリシャ」24.6%
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13位「日本」22.3%
出所:OECD(2017年)
また国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費国際比較基礎データ」によると、米国、フランス、ドイツ、英国、スウェーデン、日本の6ヵ国で社会保障に対する国庫支出を、対 GDP比でみてみると、5ヵ国はこの30年ほどで平均5.9%から7.8%に増加。それに対して日本は4.1%から3.4%に減少しています。日本だけが支出を減らしているというわけです。
では誰が増加する社会保障費を負担しているか、というと、方向性としては個人、特に本人負担という流れが顕著です。後期高齢者の医療費が条件以上であれば2割に引き上げられますが、これはその流れといっていいでしょう。
このような方向性に対して、世界の流れに逆行しているとか、日本も世界水準の福祉国家を目指すべきなどという議論もありますが、国ごとに事情はことなるので、世界に合わせることが正解とは言い切れません。また日本が抱えている問題は高齢化だけではないので、世界水準を目指すこと自体、無理な話なのかもしれません。
日本の会社員の給与があがらない……という話はよく聞くでしょう。そのような状況で、これ以上、現役世代の負担増は見込めません。高齢者自身の負担は、高齢者自身で何とかするしかない、というのが、高齢化が進む日本の答えだといえるでしょう。現役世代にできることは、自身が高齢者になったときを見据えて、計画的に資産形成を進めることしかない、といえそうです。