2020年、物流ジャーナリストの刈屋大輔氏はヤマト運輸のセールスドライバーに取材をおこなった。コロナ禍でのハードな業務は想像に難くないが、ドライバーがより「しんどかった」と語るのは2015~2017年である。アマゾンが台頭した当時について、刈屋氏が解説する。 ※本連載は、書籍『ルポ トラックドライバー』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
「アマゾンのロゴを見るだけで…」トラックドライバーの“尋常ではなかった”勤務実態【物流ジャーナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

社内調査の結果…「一部の現場で」と主張していたが

ヤマトでは、それを機に新設した「働き方改革室」を通じて、現場の労働実態を把握するための社内調査に乗り出した。その結果、全国の多くの現場でサービス残業が行われていることが判明した。

 

社内調査を終えた会社側は、最終的に、過去2年間分を遡るかたちで、未払い状態だった残業代を従業員たちに支払うことを決めた。未払い残業代は総額で230億円に上った。

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当初、ヤマトでは「サービス残業は一部の現場で行われていたこと」と主張していた。ところが、社内調査で蓋を開けてみると、“一部”どころではなかった。

 

230億円という金額規模からしても、サービス残業が特定の現場での行為ではなく、全社的に常態化していたことは容易に想像できる。

 

 

刈屋大輔

青山ロジスティクス総合研究所代表