「ゼネコン」とは、元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者を指します。本記事では、株式会社白川工芸社・代表取締役の中根義将氏が、ゼネコンマンの働き方について紹介していきます。
過労死が出るほど激務…「元ゼネコンの現場監督」の効率的な働き方 (※写真はイメージです/PIXTA)

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「最高のパフォーマンスを発揮できる時間帯」を探す

長時間労働で過労死も出るくらい激務と言われる現場監督の業務をスマートに執行したいなら、自らのゴールデンタイムを活かすことは必須条件だ。

 

ゴールデンタイムは、スーパーマリオで言えばスターをとった無敵状態。周りに一切邪魔されず、どんなミッションが来ても難無くこなせてしまう。全てが効率よく、集中力も最高潮に達し、最高のパフォーマンスを発揮できる時間帯だ。

 

だから、どこにスターが発生するかわかっていれば、当然みんな取るはずだ。だけど、現実はなかなか取れない。人によって発生する時間も、条件も違うからだ。でも、必ず誰にでもある。

「会議は11時半頃から」の固定概念が崩れた出来事

僕の尊敬するスマートゼネコンマンのひとり、O氏の場合は13時~14時がゴールデンタイムだった。

 

一般的に建設現場では、各工事会社の職人の代表が集まって、翌日の段取りを調整する作業間調整会議が毎日行われる。僕が所属していたゼネコンの場合、多くの現場では、この会議はお昼休み前の11時半頃から行われていて、入社した時から僕はそう教えられていたので特に疑問は感じていなかった。

 

だが、O氏の現場ではお昼休みが終わる13時から作業間調整会議が始まるのだ。それまで11時半からの会議が当たり前だった僕にとって、それはとても衝撃だった。そもそも、11時半からやると会社で定められているものと思っていたのに、O氏の現場では当たり前のように13時からだったので、会社の決め事って自分たちでいいと思う方向に変えていいこともあるんだ、というような感覚だった。

 

実際には会社として「11時半」と決められておらず、「お昼」という決まりだったように記憶している。思い込みのせいで本質を見落としていた自分を恥じたが、この冷静さこそO氏がスマートゼネコンマンたる所以だろう。決め事や常識にとらわれずに、今本当にベストなことは何なのかを追求し、躊躇なく実行していく。

 

O氏の仕事に対する姿勢から僕は本当にたくさん学ばせて頂いた。特にこの作業間調整会議については、やってみると、僕もそれ以来ずっと13時派になってしまったくらい、とにかく効率がよかった。それまでの会議は、お昼休憩前なので疲れていたり、お腹が減っていたりと、集中できないことがあった。常に体を動かしている職人にとっては尚更だろう。

 

だから、話を聞いているようでも昼寝をすると忘れてしまったり、違う解釈をしてやり直しになったりすることがあった。また、会議が長引いたりする時でも、午後の作業開始時間は変わらないから、十分な休息時間が確保できないこともあった。

 

こういった非効率的なことが、13時からの会議ではほとんど発生しなくなったのだ。とりわけO氏にとっては、一番集中力があって、間違いも少ないゴールデンタイム中に明日の段取りを終わらせてしまう訳だから、翌日になってムダなやり直しが発生しない。更には職人たちも次の段取りがわかった上で作業を進めていくので、O氏が現場に呼ばれることも少なくなる。