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噂「相続税と贈与税の一体化」生前贈与への影響は?
Q.改正の前に具体的に何ができるのでしょうか?
相続税と贈与税が一体化された場合、改正前の贈与にまで、改正が影響することはないと考えられますので、具体的には、それまでの生前贈与をどう上手く行っていくか、が問題になります。最新の『税制改正大綱』を見る限り、令和3年・4年については改正されないといえますから、今のうちに「メリットを享受できる金額」を計算して、生前贈与の手続きをしていきましょう。
Q.メリットのある金額はどうやって計算すればいい?
結論を先にお伝えすると、下記[図表1][図表2]にあげる相続税、贈与税の税率を見て、
生前贈与をしたときに
・相続税が減る税率と、
・贈与税がかかる税率
を比較すれば、メリットのある生前贈与の金額が概算でわかります。あくまでも、目安を把握するための、わかりやすさを重視した計算ですのでご留意ください。
まず、相続税が減る税率ですが、ポイントは各相続人の法定相続分の金額がいくらかということです(正確には、基礎控除を超えた分を法定相続割合でわけた金額ですが、概算で計算する際は財産の額を少なめに考えて、法定相続分で考えるほうがわかりやすいかと思います)。
相続税の税率は、10%から55%まで段階的に上がっていきます。財産全体にこの税率でかかるわけではなく、財産のうち一番高い税率がかかる部分が、この税率だということに注意が必要です。
財産が減ると、一番税率が高い部分の財産がなくなるので、安くなる相続税は、減った財産にこの一番高い税率をかけた金額になります。[図表1]でいえば、たとえば法定相続分が7億円の場合、1億円財産が減ることで、1億円×55%=5500万円の相続税が安くなるのです。
基本的には、この一番高い部分の税率より低い税率で贈与をすることができれば、生前贈与で節税効果があるということになります。ですから、相続人の法定相続分の金額がいくらくらいなのかが重要だということになります。例を挙げて説明しましょう。
父親が、妻と子供2人に財産を4億円を残すとします。妻が2億円、子供がそれぞれ1億円ずつです。子供は1億円なので、一番高い部分の相続税率が30%になります。この方が、2,000万円を子供に生前贈与するとどうなるか。2000万円の相続財産が減ることで、その30%分、相続税額が減ります。
金額でいえば、
2000万円 × 相続税率:30% = 600万円です。
注)正しくは、基礎控除額を差し引いた金額を法定相続割合で按分し、妻1.76億円、子供それぞれ0.88億円です。今回は概算ですので財産を按分します
注)一番高い部分の相続税率は、妻と子供で加重平均すると35%になります。今回は簡略化して30%で考えます
一見節税に成功しているように見えますが、注意点がひとつ。2,000万円も贈与すれば、税率にして約29.3%、585万円もの贈与税がかかるのです。
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相続税を600万円節税できる!
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しかし2,000万円を贈与すると贈与税585万円がかかる
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生前贈与をしたところで大して節税にならない!
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減った相続税と増えた贈与税が、そこまで変わらない感じがしますね。法定相続分が1億円の方に2,000万円分贈与しても、あまり得しないということです。