「ゼネコン」とは、元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者を指します。本記事では、株式会社白川工芸社・代表取締役の中根義将氏が、ゼネコンマンの働き方について紹介していきます。
元ゼネコンの現場監督が語る「日本の工事現場」…職人たちとの働き方 (※写真はイメージです/PIXTA)

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他力本願は悪いことではない…ゼネコン現場監督の声

ゼネコンの現場監督は、施工計画、管理、図面作図に品質記録作成と、とてつもなく業務が多い。普通にやっていれば労働時間も半端じゃない、労働基準法第36条に基づく、いわゆる「36協定」でも上限時間の定めがない職種だ。

 

そんな現場監督の業務をこなすことは、毎日始発から終電まで働く根性があれば誰でもできるかもしれない。 残業しなくても大きな成果を生みだすスマートゼネコンマンになれば、終電で帰るという考えは不要だ。

 

なぜなら、スマートゼネコンマンは、「1.01の法則」を知っているからだ。 1を365日積み重ねることを1.0の365乗と考えると、結果はもちろん1となる。これを普通の成果とした時、1.01を365乗すれば、約37.8と、何と30倍以上の成果が出る、という法則だ。

 

正確な出典は不明だが、よく学習塾で用いられ、わずか1%でも自分の力を振り絞れという意味で、生徒に根性論を煽る使われ方をする。

 

でも、スマートゼネコンマンは、少し捉え方が違う。1.01の、この0.01、これを他人から借りるのだ。

 

 他人の1%を借りるということは、その人の時間を借りるってことだ。1日の労働時間が8時間とすると、1%はおよそ5分。自分の業務のために、誰かに5分だけ手伝ってもらう。これがスマートゼネコンマンの「1.01」の法則だ。

 

人間でなくても、機械でもAIでも何でもいい。自分のために働いてくれるなら、それが1.01になるのだ。 ここまで読んで、他力本願だなぁと思った人もいるかもしれない。「自分の力でやらないと成長しない」と言われて育ってきた人にとっては猛反発したくなる考え方だろう。

 

でも、誰かに助けてもらうことの、いったい何がダメなのだろうか。ダメだとしたら、なぜダメなのだろうか。 人間、誰しも一人では生きていけないし、お互いに助け合いながら生きている。「おたがいさま」、「おかげさま」という言葉もある。 遠慮せずに誰かを頼り、そして自分も周りに力を貸す。みんなで協力した方が物事はうまくいくことの方がはるかに多い。

 

ノルマに追われて同僚をライバル視していたり、成果に応じて報酬が決まるフルコミッションで働いている人たちにとってみれば甘い考えかもしれない。

 

でもそんな人たちでさえ―─例えば、天才と呼ばれるイチロー選手のようなアスリートでさえ、引退会見では食事管理など支えてくれた妻への感謝を口にしているように、どんな人も誰かの力を借りて成功しているのだ。