73歳・経営者「長女の婿に事業承継」後もワンマン状態のワケ【相続のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

経営者が、後継者への事業承継のタイミングを決めきれず、気づいたら「手遅れ」状態になっていることは多々あります。会社のために身を引く形をとりつつも、事業に携わり続け安心できる事業承継の「仕掛け」を、相続終活専門協会・代表理事の貞方大輔氏が解説していきます。

【関連記事】エリート父の「遺産を溶かした」母と長男…仲良し家族に起きた恐ろしすぎる悲劇【相続のプロが解説】

後継者に任せてもいいものか…事業承継に使える「株」

よくある経営者の悩みに「後継者は一応決まっているが、事業承継がなかなか進まない」というものがあります。自分の息子や、婿、親族外の社員…、後継者は一応決まっていても事業承継が進まない理由には2点が挙げられます。

 

1点目は、自社株の評価が高いゆえに、株を譲渡できないためです。

 

しかし、自社株評価を引き下げる税務上のルールは2017年から厳しくなっているものの、株価を下げる方法はまだまだあるので、株価を下げたのちに譲渡することが可能です。

 

2点目は、その後継者が本当に事業を承継できるのか判断しきれず、踏みとどまってしまうためです。

 

この場合、時間だけが過ぎてしまうので、気づいたら社長も高齢で「もう手遅れ」の状態になっていることがよくあります。

 

そんなときに使いたいのが「種類株式」です。約20年前の会社法(旧商法)改正により、普通株式だけでなく、いろいろな種類の株式が発行できるようになりました。種類株式は、次の事例のような使い方ができます。

 

 

記事執筆者登壇!12月15日(水)17:00~18:00

アフターコロナにおける経営者、
お金持ち、億り人のための所得税・法人税対策

【セミナーオンライン開催/LIVE配信】
元外資系プライベートバンカーとして伝えたい

↑↑↑詳細はコチラ↑↑↑

 

**********

 

都内にある非上場企業(非公開会社)を経営している田中さんは73歳。

 

40年に渡り夫婦二人三脚で会社を大きくしてきました。現在、従業員20名の会社を経営しています。売上は10億円強。税引後の利益は毎年コンスタントに2000万円程度をあげています。後継者候補としては、自分の長女の婿を想定しています。

 

婿は45歳で専務をしています。長女は会社の経営には関わっておらず専業主婦。妻はコロナの感染が広まる1年前に、70歳を機に退職しました。その際、退職金をどさっと支払っています。退職金を支払ったため、自社株評価もちょうど下がっています。

 

さらに、コロナの影響で業績が少し悪くなってきたため、自社株評価はコロナ前とは異なります。

 

そこで、田中さんが持っている株式を種類株、ここでは無議決権株式(株主総会での議決権を持たない株式。通常の普通株と異なり、議決権を制限、もしくは持たないため、事実上経営に意見できない)にしたうえで、長女の婿専務に譲渡しました。

 

その結果、自社株の保有比率は、田中さん(社長)が1で、婿専務は9になりました。しかし、専務の株式は無議決権株ですので、事実上田中さんのワンマン状態は続きます。

 

さらに、株式の大半は専務が保有している状況なので、田中さんに万が一のこと(相続)が起きても、相続税の心配をする必要はありません(事業承継税制も選択肢には入りますが、デメリットが大きいのでここでは触れません)。

 

田中さんは10年後、83歳になったときに、自分が持っている残りの普通株を、専務もしくは10年後の後継者に贈与しようと考えています。どんなに株価が上昇しても、大半の株式は無議決権株にして専務に譲りましたし、残りはわずかなので株価の上昇も大して気になりません。

 

**********

一般社団法人相続終活専門協会 代表理事
株式会社アレース・ファミリーオフィス 取締役

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。

読売新聞、現代ビジネスをはじめとした大手メディアにも多数の記事を掲載している。

遺言相続.com(https://egonsouzoku.com/)

著者紹介

連載家業が傾くリスクも…プロが解説「経営者の相続対策」

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧