【関連記事】コロナ禍と中小企業…変化=承継チャンスと捉える経営者の決断
人口1万5000人の隠岐の島、調剤薬局は「4つだけ」
「隠岐の島(おきのしま)」と聞いて、どこの県にあるのかすぐに思い浮かべることはできるでしょうか? 歴史に興味がある方は、中学の社会の教科書の「後鳥羽上皇が承久の乱に破れてご配流された地」という記述を記憶されているかもしれません。
現在、日本海に浮かぶ人口約1万5,000人の隠岐の島には、4つの調剤薬局があります。深刻な高齢化が進展するこの島にはなくてはならない存在です。
そのなかの1社の調剤薬局を経営する社長自身も高齢になり、後継者探しに悩んでいました。
2021年3月、事業承継M&Aの方法を知ったこの社長から、西日本エリアでM&A支援を行っている、当社の大阪事務所に連絡が入りました。
M&Aを進めるにあたって、まずは調剤薬局の企業価値算定や譲り受ける企業に提案する説明資料となる「企業概要書」を作成します。会社から事前に資料を郵送してもらい、資料作成を行っていました。
技術料は月240万円、処方箋枚数も月850枚と、通常であれば、すぐに候補先から手が挙がりそうな安定的な業績です。
担当者も「事業内容も良好だし、比較的早く相手が見つかるのではないか」と明るい気持ちで考えながら作業を進めていました。
初回訪問時に告げられた「調剤薬局休業」の報告
ところが、まさかの事態が発生します。
「実は、2021年4月から休業することしました」
隠岐の島の事務所に初めて訪問した際、社長から開口一番、休業の真実を知らされました。当社に相談を持ち掛け、面会が実現するまでの期間に、薬剤師として勤務していたスタッフが、高齢を理由に2021年3月末に退職することになったというのです。それに伴ってほかの事務スタッフも退職することとなり、調剤薬局には社長がひとりだけ残ることになってしまいました。
「このまま運営することは不可能だ…」
社長がつぶやいた通り、このまま運営することは不可能でした。そのため、ひとりになった社長は、2021年4月から休業することを決断したのです。
承継実現のためには新たに人材を探さなければなりませんが、休業中となれば、通常のM&Aよりも一気に難易度が高くなります。
休業中の隠岐の島の調剤薬局事業に興味を持つ相手先は見つかるのだろうか。いや、見つけるしかない…。
これまでの調査で、隠岐の島の厳しい医療の現状を目の当たりにした当社の担当者は、困難な状況となることを覚悟しつつ、正式に今回の相談を引き受けることを決意しました。
こうして隠岐の島の調剤薬局のM&Aがスタートしました。
地道な調査が奏功し、念願の候補先が現れるも…
早速マッチング活動に着手し、引き継いでもらえそうな候補先リストを作成。調剤薬局の名前は伏せ、島根県の同業者を中心に1社ずつヒアリング調査を実施していきました。
そのなかで、2021年4月後半、ある調剤薬局チェーンが関心を示しました。隠岐の島の社長と調剤薬局チェーンの担当者は、直接面談も行い、価格交渉のすり合わせまで進みました。
「最初は、島という立地がネックになりそうだと思っていたが、事業内容がいいと相手も見つかるものだな」
担当者はそんな感想を抱きつつ、最終契約書のドラフト作成等、次のステップについてスケジュールリングを始めようしていました。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!