花嫁の個性を生かす「色打掛」披露宴で輝く華やかな姿
■古典的な赤に緑の差し色とボール状の髪型が独創的なモード感を醸し出す
金銀、色とりどりの金糸を使った手織りや丁寧な手染め友禅などにより、何ものにも代えがたい華やかな光を放ち、花嫁を至高の美しさに導くのが色打掛スタイルです。色は赤や金、黒などさまざまあり、柄も縁起が良いとされる鳳凰や鶴、梅や松竹梅などバリエーションが豊富です【この記事の写真を見る】。
幾人もの匠の手により、織りや箔、金糸や銀糸を豪華にほどこした衣装は、花嫁の個性を生かすことができるので、私の場合は、ヒアリングを重ねて「テーマ」を決め、コーディネートを決定していきます。
白無垢が元来、神仏の前で結婚を誓う挙式のみに用いられる衣装であるため、厳かさを重視される反面、色打掛は、披露宴で用いられることが多いです。今では、時を経て受け継がれた豪華で雅なものからモダンなものまで、幅広く華やかな着物が多くあります。
ヘアスタイルは、白無垢同様に角隠しを合わせたり洋髪にするなど、アレンジの幅が利くのも色打掛の魅力です。鮮やかさを演出できる色打掛は、花嫁の個性を見ながらドレス感覚でつくり込んでいきます。
可愛らしさを演出するのは「真横の美の二等辺三角形」
■一面の鶴の手刺繍を魅せ横姿は二等辺三角形で美しく
赤のちりめん地に手刺繍の鶴が施されている図柄は、まるで一枚の絵画を観るようです。ゴールドのあしらいが艶やかさを増しているので、トータルバランスを考えたときにあまり色を入れないよう、それでいて着物のなかのゴールドをヘアアレンジに加えるなどの工夫をしました。
刺繍の立体感と色彩の美しさを活かすため、格調高いイメージを醸し出します。しかし、花嫁はどこか可愛らしさを残したいので真横の美の二等辺三角形がその部分を担いました。古典とモダンの融合が魅力的なコーディネートです。
杉山 幸恵
着付け師・和装スタイリスト・和婚プランナー