花嫁衣裳の代表「白無垢」プロの美技。超絶スタイルに
■もっとも格調高い白無垢をアーティスティックに仕上げる
真っ白な色は邪気を払い、神聖な儀式に臨む際に身につける色とされ、白無垢はいつの時代においても不動の人気を誇るスタイルです。婚礼を祝う列席者の方々にも静かな感動を与え、神前式、仏前式、人前式など、すべての形態で神聖な誓いを叶える衣装です【この記事の写真を見る】。
生地には鶴や鳳凰、松竹梅など縁起の良い模様が施されているものもあり、同じ白無垢でも、生地の風合いや刺繍によって印象や雰囲気が変わってきます。伝統技術を今に伝える職人たちが丹念につくり上げていますから、その技術を引き立たせつつ、どこかで最新モードを感じさせ、時には軽やかに、時にはドラマティックに響き合う美の世界を表現します。
はこせこや懐剣などの小物もすべて白で統一し、日本髪に綿帽子や角隠しと呼ばれる被り物を合わせるのが正式な装いとされますが、私の場合はアーティスティックにつくり上げるのが特徴です。
「美の二等辺三角形」。360度どこからでも美しく。
■ゴールドと白の組み合わせが白無垢の格式と気品を忘れない
花嫁姿は360度どこからも美しく見えるように意識して着付けます。
特に、後ろ姿は盲点になりやすいので、あえて鶴の刺繍が絵画のごとく映るように衣紋を美しく抜きます。白無垢の素材は天然の絹を用いた「正絹」が伝統的です。上品な光沢があり、光の角度で美しい印象に。
天然ならではのやや生成り色も日本人の肌になじみます。横から見る姿は頭からバストトップまでが「美の二等辺三角形」をつくるようにバランスを取ります。そのため、いつでもヘアと着物はトータルで考えることを心得ておいてください。
杉山 幸恵
着付け師・和装スタイリスト・和婚プランナー