11月23日は勤労感謝の日。日ごろの働き方を振り返るのに絶好の日だといえるかもしれません。「日本人は働きすぎ」と世界から揶揄されることも多いですが、実際はどうなのか、国際労働機関(ILO)のデータなどから見ていきます。
労働時間、平均38時間…日本人は「働いてもジリ貧」という空しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人が働ぎ過ぎといわれる理由と、働いても報われない現状

前出のデータはすべての労働者が対象であり、パートタイマーも含むもの。また男女もすべて含みます。日本は正社員と非正社員、また男性と女性で労働条件が大きく変わる国として知られています。そのような状況を顧みると、データだけで「日本人が働きすぎは嘘」というのは早計かもしれません。

 

「働きすぎ」をさらに示しているのが、有休消化率です。

 

厚生労働省『令和3年就労条件総合調査』によると、労働者1人あたりに付与されている有給休暇は17.9日。それに対して、取得日数は10.1日で取得率は56.6%。前年より0.3%増でした。「働き方改革」が叫ばれていても、「休みづらい」という風土が問題だといえそうです(関連記事:『平均取得日数は10.1日…「有給休暇」取らざるを得ない実態の真相』)。

 

もうひとつ問題なのは、「働けど給与はあがらず」という日本の状況でしょう。経済協力開発機構(OECD)のデータによると、世界主要国のなかで平均年収が最も高いのは「スイス」で9万2,555米ドル。日本は35ヵ国中20位で4万1,164米ドルでした。

 

注目すべきは変動率。日本は30年で2%ほどの増加。それに対してトップの「スイス」は26%増、「米国」(2020年4位)は47%増、「英国」(2020年16位)は44%増、「フランス」(2020年19位)31%増。日本より順位はひとつ下の「韓国」は92%の大幅増を記録しています(関連記事:『会社員の平均年収436万円…30年で「韓国は92%増」で「日本は2%増」の衝撃』)。

 

日本だけがジリ貧……これが世界視点でみたときの現状。「働いた分だけ報われる」そんな国になることを願うばかりです。