外資系企業と聞くと「成果主義」のイメージが強く、下剋上等日本の伝統的な「年功序列制度」とは無縁に思いますが、実際はどうなのでしょうか。キャリアコンサルタントの中山てつや氏は、著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場で生き抜くノウハウを語っています。当記事では中山氏の実務経験をもとに、現代における企業の問題点を考察していきます。
匿名アンケートによる人事評価…正直に「上司の不満」を書いた会社員の誤算 (※画像はイメージです/PIXTA)

社員同士が疑心暗鬼に陥り、職場が気まずい雰囲気に…

もうひとつ、今度は水平評価のケースです。当時の会社では、通常の人事評価とは別に、同僚社員の日々の行動や、適性についての調査を行っていました。こちらも、当然無記名なので、本音ベースで書けるのですが、フィードバックの際に、やはり何となく「誰が、誰を、どのように」思っているか、が分かってしまいます。

 

その結果、気がつくと、社員同士が疑心暗鬼に陥り、職場が気まずい雰囲気に包まれることもありました。ちなみに、私が経験した外資系企業では、「多面評価」なるものは一切行われていません。

 

意外かもしれませんが、上司や同僚に対して、アンケート含め何かを確認するという場面は、まったくありませんでした。その観点からすると、社内で余計な気遣いをすることはなかった、と言えます(別の意味で気をつけないといけないことは、多々ありましたが)。

 

また、知人が勤める外資系企業の多面評価は、「昇格する際にのみ、他部門の管理職からフィードバックをもらう仕組み」とのことです。

 

別の外資系企業に勤める友人の話によると、毎年必ず行われる多面評価はなく、「数年に1回のペースで、上司が部下や同僚を何人か指名する形」で行われるそうです。どうも、多面評価という仕組みは、予想に反して日系企業のほうに、本来とは違う趣旨で、深く根づいているようです。

 

 

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中山てつや

1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。日系製造メーカー及び外資系IT企業を経て、主にグローバル人材を対象としたキャリアコンサルティングの仕事に携わる。