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「現金給付合戦」となった衆議院選挙の混沌
本日19日は衆議員選挙の公示日です。31日の投開票に向けて、選挙カーが街を回ったり、立候補者が街頭演説を行ったり、本格的な選挙運動が始まります。
今回の選挙で大きな話題をさらっているのが、給付問題。公明党の18歳以下10万円給付、れいわ新選組の毎月20万円給付など、各党の政策が「バラマキ」であるとして、世論では批判が相次いでいます。
「なぜ今」「もらえるならもらいたいけど……」といった言葉に並んで散見されるのは「それなら、税金の見直しを」という多数のコメントです。
所得税、住民税……日本は累進課税ですから、給与が上がったら比例して課税率も上昇します。「給与は増えたけど手取りは全然変わらない」といった声が良く聞かれるものです。実際、国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査』には、「日本でお金を稼ぐこと」の悲しい現実が露わになっていました。
まずは給与の構成比別に見ていきましょう。男性の給与分布で最も多いのは「300万円超~400万円以下」で17.5%。「400万円超~500万円以下」が17.3%、「500万円超~600万円以下」が13.4%と続きます。
女性の給与分布を見ていくと、最多は「100万円超~200万円以下」で23.4%。「200万円超~300万円以下」が21.3%、「300万円超~400万円以下」が17.3%と続きます。
勤続年収別の平均給与を見ていくと、男性の場合、35年未満までは勤続年数が長くなるにしたがい高くなっています。もっとも給与が良いのは、勤続年数30~34年の階層(743万円)。女性の場合は、勤続年数25~29年の階層(432万円)が最も高くなっています。
1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳までは年齢とともに平均給与も高くなり、55~59歳の階層で平均667万円と、最も高い給与を受け取る傾向にあります(女性の場合は年齢別の顕著な差は見られませんでした)。
真面目に働き続ければ、コツコツお金は増えていく……と考えたいところですが、では課税額はどうなのか。
1年を通じて勤務した給与所得者について、給与所得者数及び税額を給与階級別にみると、1年を通じて勤務した年間給与額800万円超の給与所得者は481万人で、全体の給与所得者の9.2%にすぎません。しかしその税額は合計6兆8,834億円で全体の64.3%を占めています。
日本人口が現在約1億2530万人、そのうち労働世代(15歳~64歳)は7428万3000人です(総務省人口推計/8月)。およそ7400万人のうち年間給与800万円超えがわずか500万人弱しかいないことも驚きですが、納税額には目を見張るものがあります。
【ちなみに】民間平均給与は国会議員の「3.4ヵ月分」
ちなみに国会議員の給与はいくらなのか。『国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律』では下記のように記述されています。
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第一条各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける。
第二条議長及び副議長は、その選挙された日から歳費を受ける。議長又は副議長に選挙された議員は、その選挙された日の前日までの歳費を受ける。
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歳費とは、いわゆるお給料のことを指します。議長217万円、副議長158万4000円、議員129万4000円。民間の平均年収が433万円ですから、国会議員については、およそ3.4ヵ月で民間のそれを上回る計算です。なお現在は新型コロナ感染拡大を受け、国会議員の歳費は「2割減」されており、歳費の月額は約103万円となっていますが(今月末まで)、それでもなお、高いなと感じてしまうのも無理はないかもしれません。
「お金を配る」という直接的な政策。その効果を疑問視する声はやみません。この選挙期間に現金給付をめぐる諸問題はどのように変化していくのでしょうか。世論の変遷、それを受けた各政党の対応が問われています。
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