岸田内閣が誕生し、日経平均は一転、急落。多くの株式投資家が一喜一憂するなか、空売りで株価下落時に利益を得ようとする人たちも。彼らはどのような銘柄を選んで空売りをしているのでしょうか。一般的な指標に基づいたスクリーニングの具体例とともに、その際の注意点も見ていきましょう。
岸田内閣誕生による「日経平均急落」も喜び材料…「空売り銘柄」はどう選ぶべきか【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

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「今後値下がりする確率が高い銘柄」を選ぶのが基本

空売りは信用取引の一種で、株を借りてそれを売却することです。売った価格より安く買い戻して借りた株を返済することにより、差額を利益にすることができます。

 

したがって、「今後値下がりする銘柄」を選ぶのが空売りの基本です。

 

しかしながら、これは株式投資をする上でぜひ心得ておくべきことですが、「絶対に値下がりする銘柄(または値上がりする銘柄)」などは存在しません。哲学的な議論に踏み込まなければ、未来は不確実であり、人間がそれを100%正確に予測することなど不可能だからです。

 

ですからそれを踏まえて、現実的には「今後値下がりする確率が高い銘柄」を選ぶというスタンスが、空売りの基本となるでしょう。

「割高すぎる銘柄」をスクリーニングしよう

では、「今後値下がりする確率が高い銘柄」とはどのような銘柄でしょうか?

 

悪材料が出た銘柄や、事業の将来性が乏しい銘柄などもその候補となりますが、前者は投資家がコントロールできるものではありませんし、後者は見極めが難しいものです。

 

そこでここでは一例として、「割高すぎる銘柄をスクリーニングする」という方法を挙げてみましょう。単に「割高」なのではなく、「割高すぎる」銘柄ですので、上がる確率よりは下がる確率の方がより大きいのではないでしょうか。

 

では、どのような条件で銘柄をスクリーニングすればよいでしょうか?

 

これも一例ですがここでは、PER40倍以上、PBR4倍以上、という条件を挙げてみます。また、財務優良な企業は、負債が少なく、一方で利益剰余金を積み重ねているため、自己資本比率が高い傾向があります。

 

そこで逆に、自己資本比率が30%以下、という条件も加えてみましょう。財務状態があまり良くない銘柄も、将来的に業績や評価(株価)を下げる確率が高いのではないか、という考え方です。

 

ただし、自己資本比率は業種によって平均値に大きく差がある値ですので、30%以下だからといって一概に、その企業の財務状態があまり良くない、とはいえないこともお断りしておきます。

 

証券会社のスクリーニングツールを用いて、8月18日現在でこの条件で検索をすると、26銘柄が選び出せました。その中には某有名IT企業もあり、実は空売りのチャンスなのかもしれません。将来性が買われているのでしょうが、現時点で市場はその銘柄に、割高すぎる株価をつけているのです。

 

なお、このスクリーニング条件はあくまで一例ですので、違う条件や、その他の観点から空売りする銘柄を検討することも、もちろん重要だといえます。