脱サラして一念発起、突如「異国の地ルワンダ」でASIAN KITCHEN(アジアンキッチン)を開業した、シングルマザーの唐渡千紗氏。今夏、重版された書籍『ルワンダでタイ料理屋をひらく』(左右社)では、同氏が経験した「珍事の連続」が赤裸々に語られています。アジアンキッチンの大きな課題は「味の安定」。不安定さは、シェフたちの「タイ料理への馴染みのなさ」、そしてルワンダの「物流事情」によるもののようです。
「東京で暮らすよりも高くつく」…アフリカ内陸国で働く日本人の苦悩 ルワンダの首都・キガリの風景(※画像はイメージです/PIXTA)

「アフリカは物価が安い」?陸の孤島の物流問題

味の安定を難しくしている要素に、ルワンダという内陸国ならではの物流問題がある。

 

アフリカというと、物価がとにかく安いイメージがあるだろう。だがルワンダの場合、日本人が日本人の感覚で、最低限快適・安全に暮らしたい場合、「東京で暮らすよりもだいぶ不便だけど、ちょっと安い」くらいの感覚でいた方がいい。東京のような快適さを求めれば、東京で暮らすよりも確実に高くつく。

 

コストが高くつく理由は様々あるが、やはりまずは物流だろう。日本では気づきにくいが、「島国である」というのは、実はすごい恩恵なのである。私もルワンダで暮らして初めて、内陸国の苦悩が少しずつ見えてきた。

 

先述のように、ルワンダはアフリカ大陸のほぼ真ん中、内陸に位置し、港がない。地の利がとにかく悪い。陸路だけでも、近代的な物流が整っていれば、なんとかなるんじゃないかと思われるかもしれない。

 

ただ、鉄道、高速道路などが見事に整備されている日本では想像し難いが、まずルワンダには鉄道がない。道路も、中国企業がルワンダ全土にせっせと道路を作っているが、丘だらけなので簡単ではない。場所によっては崖に近いような山道を、日本では走っていないようなオンボロトラックが行き交う。実際、事故も多い。

 

そうなると、製造業が育つのはかなり厳しい。そもそもモノを作ろうにも、資源に恵まれているわけでもなく、材料に乏しい。それでも頑張って材料を輸入して作るとする。そうして作られたものは当然高くなる。そうした商品を国内で買える層などごくごく一部だ。では外に輸出しよう、と考えるかもしれない。するとまた、輸送費や関税が乗って、消費者に届くころにはすごい値段になっている。

 

つまり成り立たない。日本のように材料を輸入し、加工し、輸出してビジネスが成立するのは、島国だからこそできることなのだ。

 

ルワンダでは、輸入品がとにかく高い。例えば、日用品。中国からの輸入品が多く出回っているが、日本の100円均一で売られているものの品質を3分の1にして、値段が3倍であれば良い方だ。もっとも、これについては、日本の100均がすごすぎるとも言える。

 

他にも例えば、車。日本では買い手がつかないような中古車が、隣国タンザニアのダルエスサラーム港につき、更に陸路で国境を越え、ルワンダに到着する頃には、輸送費で価格が膨れ上がっている。そこに、ドカンと税金が乗ってくる。しかも、オンボロ車は修理代がかさむ。維持費も果てしなくかかるのだ。