業界内での信頼もとても厚く、「理想の上司ランキング」では5年連続1位に輝いている、お笑い芸人の内村光良さん。博報堂のクリエイティブディレクターである畑中翔太氏が、内村さんから学んだ「自発的に動く」チームの作り方を紹介します。 ※本記事は、『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・編集したものです。
「理想の上司ランキング」5年連続1位…内村光良から学ぶ「自発的に動く」チームの作り方 (※画像はイメージです/PIXTA)

リーダーの資質を問う、極めてシンプルな行動理由

このエピソード自体は決して大きなことではないが、たとえ自分がどんな立場であっても、自身の「肩書き」に囚われず、その時必要なことを自然にできるか、という姿勢がリーダーには問われる。そこにあるのは、「チームとして、より良い仕事をするために、自分が出来ることをやる」という極めてシンプルな行動理由ではないだろうか。

 

人は肩書きという「ラベル」が付けられると、「肩書き外」のことを自分の責務だと思えなくなる。

 

ある人に「新人」というラベルが付いていれば、雑務も重要な責務の一つであると暗黙のうちに捉えるが、「社長」というラベルが付いていればそうではないだろう。

 

しかし前述のように、内村は「肩書き外」のことを当たり前にやる。

 

他人の立場やポジションにニュートラルであるがゆえに、自分自身の立場も「変更可能」なニュートラルなものにできている。

 

例えば、クライアントに向けたプレゼンの戦略を組み立て、周囲の部下に指示を出している上司がいる。そんな彼が、コピー用紙の補充や休憩時のコーヒー出しを特に何も言わずにしてくれていたら、そんな姿を見た周りの部下や後輩はどう思うだろうか。

 

大会議室での会議終わり、机や椅子の位置をもとに戻す作業をリーダーが率先してやってくれていたらどう感じるだろうか。

 

世間一般では若手社員に任せてもいいようなことを、自ら進んでやっている姿は、たとえ一つ一つは小さなことであっても、それが当たり前のことであっても、その積み重ねがリーダーへの好意を生み出す。

 

このように「リーダー」という存在がその肩書き外のことを当たり前のようにやる姿勢は、部下や後輩が「尽くしたくなる」動機となる。