業界内での信頼もとても厚く、「理想の上司ランキング」では5年連続1位に輝いている、お笑い芸人の内村光良さん。博報堂のクリエイティブディレクターである畑中翔太氏が、内村さんから学んだ「自発的に動く」チームの作り方を紹介します。 ※本記事は、『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・編集したものです。
「理想の上司ランキング」5年連続1位…内村光良から学ぶ「自発的に動く」チームの作り方 (※画像はイメージです/PIXTA)

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「肩書き外」のことを当たり前にやる

相手の立場や肩書きに上下をつけないゆえに、内村は自分自身の立場にも固執することなく、「肩書き外のこと」も平然とやってしまう。この何気ないリーダーの行動は、チームにおける大きなモチベーション創出の呼び水となる。

 

そんな内村の一面を象徴する、あるエピソードがある。2006年公開の内村の初監督にして主演映画『ピーナッツ』の撮影時のこと。

 

野球場での撮影を予定していたが、前日からの雨天の影響で野球場スタッフによるグラウンド整備待ちの時間があった。整備が終わるまで撮影が出来ないため、共演者や撮影スタッフの休憩時間になったそうだ。

 

しかし、ふと気が付くと内村の姿が見あたらない。「内村さんがいない」と騒いでいると、なんと内村は野球場スタッフと一緒にグラウンド整備をしていたという。その内村の姿を見た出演者・撮影スタッフは総出となり、関係者全員が作業に加わった。

 

実際には撮影現場のコンディションを整備するチームは別に存在しており、作品における「監督・主演」というポジションである内村は、通常であれば“それ”をする役回りではない。にもかかわらず、気づけば彼は一人混じってグラウンド整備をしていた。

 

「私はその場にいたわけではなく、出演者の一人からこの話を聞きましたが、非常にウッチャンらしいと思いました。そういう人なんですよ。みんなでやらないか、って言うんじゃなくて、黙って一人でやるんですよね。一番上のリーダーがせっせとグラウンドの整備をしていたら、俺たちもやらなきゃ、ってなりますよね」

 

こう語るのは、内村が20代の頃から長年にわたりヘアメイクを担当している大の木ひで氏。同じく現場にいた出演者の一人からこの話を聞いたという、ウド鈴木氏はこう補足する。

 

「なぜ最初からチームみんなに声掛けしなかったのか? う~ん、おそらく内村さんは、ハードな撮影続きで疲れが溜まっているみんなには休んでもらいたい、でも少しでも早く撮影を再開したい、ということで、自分一人でやったんだと思います」