(※写真はイメージです/PIXTA)

高崎経済大学経済学部教授、さくらジャパン税理士法人の税理士である田中久夫氏の著書『ロータリークラブに入ろう!』より一部を抜粋・再編集し、知られざる「ロータリークラブ」の魅力について解説する。

 

国歌「君が代」の斉唱が始まった。僕も唱う。次に幹事は、「ロータリーソング『奉仕の理想』斉唱!」と宣うた。何だ、それは? 僕は唱えない。

 

幹事は、さらに「『四つのテスト』(ロータリアンの代表的な行動指針。原文はたった24個の英単語から成る。創案者はロバートJ・テーラー)の唱和!」と言う。まったくわけが分からなかった。すべてが終わったとき、皆は一斉に拍手をして座った。心を落ち着かせるまでに少し時間がかかった。

 

おい、この会は大丈夫か? 変な宗教団体じゃないだろうな? チンと鐘を鳴らして、皆で一斉に立ち上がり、お題目を唱える。まるで、危ない宗教団体か「大人の幼稚園」じゃないか!

唯一の同期、眼科医のOMさんは面白い人だったが…

そうこうしているうちにも会のスケジュールは進んでいく。最初に、新会員を紹介すると幹事が発言した。新会員は僕を含めて2人。自己紹介の順番はアルファベット順だ。……アメリカンだからね。

 

最初は、同期の1人、OMさんという眼科医。ドモリながらも面白い話をした。彼は、その後20年くらい幽霊会員(会費だけ納めて出席をしない会員)を続け、あまり話が出来ないままに退会していった。OMさんは医院を経営しているため、月曜日の12時10分からの例会には出られるはずもない。

 

でも、彼にとってはロータリーに所属していることが社会参加の一つの証しであったはずで、幽霊会員でもクラブに会費では迷惑を掛けていないことと物理的に出席が出来ないこととの板ばさみの中で退会を決意したのだ。

 

仮に、彼にそれを相談する友だちがいれば、また違った答えがあったかも知れない。彼の気持ちまで忖度できなかった同期の僕には少しツライことだった。会費をキチンと納めている幽霊会員の進退扱いは難しい問題だ。彼はクラブに対してどんな気持ちを残して退会していったのだろうか?

 

次は、僕の番だ。事前にレクチャーされたように、「伝統と格式のあるクラブに入れていただいて感謝している……」というフレーズを織り込み数分で切り上げた。少し緊張したが、失敗はしていないと思う。皆を見回したが、あまり関心がなかったみたいだ。

 

なかに何人かの見知った顔があった。あとで挨拶に行った方が良さそうだ。そのとき握手を忘れないようにしようと考えた。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ロータリークラブに入ろう!』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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