偶然に左右されやすくローリスク・ローリターンなスキャルピング
スキャルピングとは、数秒や数分などごく短期間で買いと売りを終える投資方法です(関連記事:『超短時間で勝負をつける「株のスキャルピング」儲けるための心得』)。
その特性として、偶然に左右されやすいということと、ローリスク・ローリターンなことが挙げられるでしょう。
長期的に見ると株価というのは、その企業の業績や将来性を反映したものになります。業績の良い会社、将来の成長が見込める会社は、やはり株価は上がり、時価総額も高くなっていくのです。
ところが短期的に見れば、偶然としか思えない変動を見せるのが株価でもあります。たとえ良い会社の株でも、短期では説明しようのない上下を繰り返しているのです。
そのため、特に、ごく短期の売買をするスキャルピングは偶然に左右されやすい投資方法だといえるでしょう。そして、ごく短期で売買を完結させるがゆえに、大きく上下する確率も低くなりますので、ローリスク・ローリターンだともいえるのです。
統計学を利用した「ボリンジャーバンド」とは?
さて、そんなスキャルピングをする際には、ボリンジャーバンドという指標を参考にすることもできます。
ボリンジャーバンドはアメリカの投資家ジョン・ボリンジャーが考案した指標で、1本の移動平均線の上下に、標準偏差からなる複数の線を配置したものです。
標準偏差とは統計学で用いられる用語で、観測データが平均値からいかにバラついているかを示す値です。それを1単位としてσ(シグマ)と記し、1σ、2σ、3σなどと表します。そしてボリンジャーバンドはそんな標準偏差を利用し、「株価の多くがこの帯(バンド)の中に収まる」ことを示した指標です。
また、以下のような確率の分布も算出されています。
株価がボリンジャーバンドの±1σの範囲内に収まる確率→約68.3%
株価がボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率→約95.4%
株価がボリンジャーバンドの±3σの範囲内に収まる確率→約99.7%
確かに画像を見ていただくと、ほぼすべての株価が±3σの範囲内に収まっているのがわかります。そして、多くの期間で株価は±1σの範囲内にあり、±2σの範囲を超えることもあまりなく、稀に超えてもいずれ逆方向に株価が動き、再び移動平均線に近づいています。
ですから、上の確率分布は、ある程度当たっているといえるでしょう。