(※写真はイメージです/PIXTA)

一級建築士、設備設計一級建築士、マンション管理士その他多数の資格を所有し、分譲マンションの管理組合運営支援や大規模修繕工事支援など、建物に関するあらゆる不安解消と問題解決に取り組む小林道雄氏の著書『分譲マンション危機』より一部を抜粋・再編集し、マンション購入時には明かされない、老朽化や大規模修繕工事などの課題について解説します。

住人は知らぬ間に「集団犯罪」に加担している?

◆ゴーストマンション問題の大変さに気付いた時点では既に手遅れ

 

高経年分譲マンションの管理不良が、社会的に目立ち始める2030~2040年頃には、行政機関やマスコミにも、社会問題として取り上げられると考えています。

 

建設時期が先行している分譲マンションの管理不全は、築60年とか70年のマンションには多数現れてきます。 

 

ここらあたりになってくると、該当する分譲マンションの区分所有者たちも、自分たちの問題として認識し始め、管理会社に委託管理をしている場合は管理会社などに、自主管理の場合は、外部の相談機関に足を運び始めると思われます。

 

このように、今後のことを心配し始める区分所有者がおられれば、まだましかもしれませんが、このような時点になっても、なおかつ、だれも動かない分譲マンションもあると思います。人間というものは、こういうものなのです。自分に直接痛みがないものには関わりたくないのです。たとえ、なんとかしなくてはならないと感じ始めたとしても、自分1人ではどうしようもないと考えてしまいます。

 

また、区分所有者の1/5以上の賛同を得て、管理組合理事会に問題提起をしたとしても、真面目に取合ってくれないものと思われます。あなたの住んでいる分譲マンションは、そういう分譲マンションだったということです。だからこそ、このような将来不安を持つ管理不全マンションになったのです。

 

その生気のない、ただ浮遊するだけの状態を、不全浮遊の限界マンションといいます。一般社会からみれば、そのような分譲マンションは、迷惑な話であり、厄介者で奇異な目線で見られる存在となります。行政による税金を使った解体の行政代執行はないでしょう。

 

仮に、100戸の分譲マンションの解体費は、少なく見積もっても3億円はかかるかもしれません。無理です。代執行してもらえる(=逃げ得)は、これはもはや集団犯罪という他ありません。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『分譲マンション危機』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

分譲マンション危機

分譲マンション危機

小林 道雄

幻冬舎MC

どんなマンションでもいずれは起こる、 住民を悩ます数々の病理 国民の約10人に1人は分譲マンションで生活するといわれる現代。 今、マンションに住む人たちは大きな危機に瀕している。 老朽化と大規模修繕、管理組合の人付き…

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