(写真はイメージです/PIXTA)

2018年に相続法制の見直しが行われ、より多くの人が相続税の課税対象になりました。相続トラブルを避けるためにも最低限の相続に関する知識は持っている必要があります。本記事では相続税の基本を見ていきます。

相続税の税率…遺産の半分が税金で持っていかれるワケ

相続税の税率は、その遺産の金額が大きくなればなるほど大きくなる、超過累進税率が採られています。この税率は、[図表5]を見ていただいて分かるとおり、最大で55%もの高い税率が設定されています。

 

相続で遺産の半分が税金で持っていかれるといわれていますが、この高い税率がそういわれる理由です[図表5]。

 

[図表5]相続税の税率
[図表5]相続税の税率

税金がかからなくても申告が必要なケース

遺産の総額が、上述の【基礎控除】で解説した非課税枠の範囲内である場合には、税金は生じませんので、相続税の申告をする必要はありません。

 

例えば、被相続人である父が遺した遺産の総額が4,000万円であり、法定相続人が母、長男、長女の3人であった場合には、

 

4,000万円<3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

であるため、非課税枠の範囲内として相続税は生じませんし、相続税の申告を行う必要はありません。

 

一方で、次のような場合にはどうでしょうか? 被相続人が遺した遺産総額が5,000万円であり、法定相続人が母、長男、長女の3人であった場合には、

 

5,000万円>4,800万円

 

であるため、非課税枠を超えてきますので、相続税の納税が生じる可能性があり、相続税の申告を行わなければなりません。

 

ここで「納税が生じる可能性がある」という言い方をしましたが、ここにポイントがあります。逆にいうと、非課税枠を超えてきても、「納税が生じない可能性がある」ということです。

 

相続税には、【小規模宅地等の特例】という評価額の減額や【配偶者の税額軽減】という税額軽減などといった大きな特例や軽減措置が設けられています。

 

これらの特例や軽減措置は、相続人にとっては非常に有利となるものであり、適用ができた場合には相続税を大きく減額できる制度となっています。

 

相続財産は非課税の枠を超えているけど、この制度の適用の結果、税額が出なくなるということが実務上はよくあります。

 

ただし、適用を受けるためには適用要件として、その適用を受ける旨を記載した相続税の申告書を税務署へ提出する必要があります。適用したら税金は出なそうだなということで、うっかり申告書を申告期限までに提出しなった場合には、これらの制度は適用できなくなってしまいます。

 

税金がかからないからといって申告は必要となりますので、失念せずにきちんと申告を行うようにしましょう。

 

 

角田 壮平

税理士法人トゥモローズ

税理士

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