※画像はイメージです/PIXTA

経営者として羽振りが良く、「財産はいらない」と言っていた長男。しかし姉が亡くなると突如「財産を半分もらう権利がある」と言いだし、「争族」に発展――。※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

10年間、姉の介護に明け暮れた弟を労わったはずが…

■両親の死後、それぞれ成功していた3人の姉弟

 

私の事務所を訪れた誠二さんは、ことのあらましを丁寧に説明してくれました。

 

「両親を早くに亡くしたため、身内は私と姉と兄の3人しかいません。姉は苦学の末、有名な私立大学の大学教授になりました。結婚には縁がなく生涯両親が遺してくれた都内の戸建て住宅に暮らしていました。大学の仕事が忙しくてお金を使う暇もなかったらしく、退職時点で現預金は6000万ほどあったようです。

 

兄と姉は性格が似ているところがあり、小さいころからよくけんかしていて、大人になってからはほとんど絶縁状態でした。

 

兄は大学卒業後、家を出たので、その後どういう経緯をたどったのか詳しくはわかりませんが、40代で独立して大阪でフランチャイズチェーンの店をはじめ、一時期は5店舗くらい経営していたようですね。当時はかなり羽振りが良かったので……」

 

「お兄さまが財産はいらないとおっしゃったのは、その羽振りが良かったころのお話ですね」

 

私は「争族」の背景を知るために確認しました。

 

「はい。姉は70歳を過ぎてから体調を崩していて、ひとりでの生活が困難になっていました。そこで姉が亡くなる10年ほど前から私たち夫婦が同居して、彼女の介護をはじめたのです」

 

「そうでしたか、10年間も介護をされたのだとすると、ご苦労も多かったでしょうね」

 

誠二さんの話によると、千恵子さんが要介護状態になってから2年後に雄一郎さんと会ったとき、彼はこう言ったそうです。

 

「俺は大阪に住んでるから手伝いに来られない。だから姉ちゃんのことはお前たち夫婦に任せるよ。その代わり、万が一の時は、実家もお金も全部お前が相続すればいい。俺は大阪で一財産を築いたし老後の準備もしているから、遺産は1円ももらう気はないよ」

 

当時のお兄さまは、会社がうまくいっていたため余裕があり、本気でそう考えていたのでしょう。しかし、それから数年後、お兄さまの生活は一変してしまったのです――。

 

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