「家は余ってるけど住むためのお金がない」日本の悲惨
ところで、本当に日本には「住むところ」がないのでしょうか。そうではありません。
新聞やテレビで「空き家問題」が取り上げられているのを目にした方も多いでしょう。野村総合研究所が2017年に示したレポートでは、2017年現在の空室800万戸が、2033年には2160万戸を超えると記されています[図表2]。空き家率は30.4%。3軒に1軒は「空き家」の時代が来るというのです。
これは「持ち家」に限った話ではありません。流動性の高い賃貸物件に限定すると、より高い「空き家率」を叩き出すことが容易に想像できます。
つまり、住む家は「余っている」のです。そして、そのために困っている大家さんも多くいるのです。しかし、家賃を払うお金がないために、住まいを失う人は増え、死まで考えてしまう人が多く出てきている。なんともいびつな話ではないでしょうか。
私たちが行っている活動は、生活困窮者に行政のさまざまな支援制度を紹介し、新しい住まいを探すなどの生活補助をすること。これは、住まいを失い、死をも考えている人に手を差し伸べる活動であるとともに、「空き家に悩む大家さん」と「住まいを求める人」を結びつける活動でもあります。暗い世の中にあって、関わる誰もが幸せになる活動なのです。