「どうしたらいいかわからない」……NPO法人生活支援機構ALL代表理事・坂本慎治氏が直面した、生活困窮者のリアル。未曾有のコロナショックが続く今、「対岸の火事」だった出来事は、誰にでも起こりうる話になった。 ※本連載では書籍『大阪に来たらええやん!西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』(信長出版)より一部を抜粋・編集し、日本人の悲惨な実態に迫っていく。
「私、何のために生きているんだろう」ゴミ屋敷、そして車中泊へ…38歳・元キャリアウーマンの壮絶 掃除をする気力もなくなり、部屋はゴミ屋敷状態になっていた。(※画像はイメージです/PIXTA)

「家は余ってるけど住むためのお金がない」日本の悲惨

ところで、本当に日本には「住むところ」がないのでしょうか。そうではありません。

 

新聞やテレビで「空き家問題」が取り上げられているのを目にした方も多いでしょう。野村総合研究所が2017年に示したレポートでは、2017年現在の空室800万戸が、2033年には2160万戸を超えると記されています[図表2]。空き家率は30.4%。3軒に1軒は「空き家」の時代が来るというのです。

 

出所:2017年度版 2030年の住宅市場~空き家率の抑制に向けて、早急な仕組み作りが必要~(株式会社野村総合研究所)より
[図表2]総住宅数・空き家数・空き家率の予測 出所:2017年度版 2030年の住宅市場~空き家率の抑制に向けて、早急な仕組み作りが必要~(株式会社野村総合研究所)より

 

これは「持ち家」に限った話ではありません。流動性の高い賃貸物件に限定すると、より高い「空き家率」を叩き出すことが容易に想像できます。

 

つまり、住む家は「余っている」のです。そして、そのために困っている大家さんも多くいるのです。しかし、家賃を払うお金がないために、住まいを失う人は増え、死まで考えてしまう人が多く出てきている。なんともいびつな話ではないでしょうか。

 

私たちが行っている活動は、生活困窮者に行政のさまざまな支援制度を紹介し、新しい住まいを探すなどの生活補助をすること。これは、住まいを失い、死をも考えている人に手を差し伸べる活動であるとともに、「空き家に悩む大家さん」と「住まいを求める人」を結びつける活動でもあります。暗い世の中にあって、関わる誰もが幸せになる活動なのです。