百周年に際し、歴代指導者の名言をリストアップ
中国共産党の党中央委員会(党中央)の機関誌『人民日報』による、歴代党指導者の「党百年を回顧する百の名言」には、中華人民共和国建国(1949年)以前から23、以後から77が選出されており、指導者別では大半が最高指導者で、毛沢東と習近平現国家主席が各30、鄧小平14、江沢民・胡錦濤元国家主席が各10、その他、周恩来(元総理)2、劉少奇(元国家主席)、朱徳(元党中央副主席)、陳雲(元副総理)、彭徳懐(元国防部長)が各1ずつリストアップされている。
改革開放を進めた鄧小平のプラグマティズムを示すとされる「黒猫でも白猫でもかまわない。鼠を捕まえる猫がよい猫だ」といったよく知られているものもあるが、大半は多くの日本人にとってあまりなじみがない。
年代順で1番目、2番目にリストアップされているのは、1925年に毛沢東が「中国社会各階級の分析」と題する論考の冒頭で提起した「誰が我々の敵で、誰が我々の友人なのか? 革命において、これが最も重要な(首要)問題だ」、同じく毛沢東が1927年8月7日、湖北省漢口での党中央緊急会議、通称「八七会議」で提起した「鉄砲から政権が生まれる」だ。
「八七会議」は共産党創立メンバーの1人である陳独秀が国民党との関係、農地、武装闘争などの問題の処理で「右傾化」しているとの批判が先鋭化した会議として知られる。
それまで陳独秀らが建党初期の段階で党の宣伝・組織工作に重点を置いていたものを、「当時の国情を踏まえると中国内にはまだ民主がなく、革命武装闘争だけが政権を獲得する主要形式となる」として、軍事力を重視する方針に大きく舵を切った発言として位置付けられている(中国共産党網、中国百度百科)。
「指導者の叡智で難局を乗り越えた」点を強調
リストアップされたものの多くは党の歴史にとって重要な事件に関係しており、なかでも、党が様々な内憂外患を乗り越えてきたことを示すものが多い。
1935年に毛沢東が「日本帝国主義に反対する策略を論じる」の中で述べた「わが中華民族には敵と激戦を最後まで戦い抜く(血戦到底)気概がある」、いわゆる抗日戦争が終わり、国民党との全面的な内戦に突入した1946年8月、米国記者との会見で述べた「一切の反動分子は張り子の虎(紙老虎)にすぎない」。
後者について、「紙老虎」の当時の英語訳(scarecrow→かかし、こけおどし)が正確でないとして毛沢東が不満を示したと言われる。米国から経済的・軍事的援助を受け、軍事力もはるかに上回っていた国民党の勝利を誰もが疑わなかった状況下で、毛沢東が言いたかったことは「反動分子は真の虎でもあり、張り子の虎でもある→戦略上は軽視し、戦術上は重視する必要がある」だったと解釈されている(中国百度百科)。
最近では習氏が2020年10月、朝鮮戦争70周年紀念式典で述べた「中国人民は事を起こさないが、事を恐れもしない(不惹事也不怕事)」。いずれも、指導者の「叡智」で困難な局面を乗り越えてきたことをアピールする狙いがある。
これらは「百年百句」を待たずとも、地元メディアが折に触れて引用しているものだ。例えば、毛沢東の「血戦到底」は80年以上前の発言だが、2020年5月に地元メディア網易がこれを記事のタイトルにして激しい米国批判を展開している。
また習氏の紀念式典での講話は、環球網、鳳凰網、央視網(中央電視台)といった主要官製メディアのネット上で、やはり「不惹事也不怕事」をタイトルにして、講話全体が動画配信されている。
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