モノが売れない時代…お客様に「買ってもらえる営業」の本質

商品やサービスを“選んでもらう”には、どうすれば良いのでしょうか? 売れる営業マン・売れない営業マンの違いや、消費者にとっての「決め手」、驚きや感動を生む方法とは何か。ここでは、元・リッツカールトン日本支社長の筆者が「モノが売れない時代に、お客様が買ってくださるヒント」を紹介します。※本連載は、高野登氏の著書『百年思考』(かざひの文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「この営業マンから買いたい」と思われるか否かが勝負

「売れないのは『あなたから買う理由がない』からです。」

――売れる営業マンと売れない営業マンのたったひとつの違い(本覚院にて)

 

【モノの時代から心の時代へ。変わったのは市場ではなく人間そのもの】

 

『プロダクト・アウト』という言葉があります。高度成長期(膨張期?)には、自動車でも家電製品でも、ホテルでさえも、つくりさえすれば市場は受けいれてくれました。プロダクト・アウトとはつまり、企業側の都合に合わせて製品(プロダクト)をつくり、そのあとで売りだし方(アウト)を考えるという発想を指した言葉です。

 

しかしバブル経済がはじけ、リーマンショックを経験するなど、市場は大きなパラダイムシフトを起こしました。モノが売れない時代に突入したのです。企業側の都合など、消費者には関係ないのです。

 

人は“買いたいモノ”を、“買いたいトキ”に、“買いたいヒト”からしか買わなくなりました。今ではどの業界でも、売り手の都合を押しつけるのではなくて、お客様のニーズを捉えることが最優先になりました。

 

さらにもう1歩進んで、まだお客様ですら気がついていない潜在的なニーズを探りあてて、先取りしていくという努力が必要なのです。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

つまり今は、“観て・聴いて・感じて・考えて・提案する”力を磨かないと勝負できない時代だということです。営業成績が上がらないと悩む前にこう自問自答してみましょう。

 

「自分にははたして、お客様に選んでいただく理由があるだろうか?」

「製品を買うまでの時間」に価値を見出す時代

「心がどれだけ触れ合えているかが全ての原点です。」

――工場では素材、出荷するのは製品

店では商品、お客様が買うと夢(光明院にて)

 

【あなたが売っているのは商品ですか、それとも物語ですか?】

 

ある化粧品店の販売員さんがこんなことをおっしゃっていました。

 

「私たちの仕事は接客を通じて自社の製品をいかにお客様に提供するかです。とは言うもの“買ってください”が先行するような営業は嫌です。大事なのはお客様とどのような時間を過ごせるか、共有できるかです。いい時間を一緒に過ごせることは、お金やモノには代えられない喜びなのです」。

 

モノが売れない時代に、お客様が買ってくださるヒントがここにあります。つまり、お客様は商品を買わされたくない。そして販売員さんも売っていない。お互いに大事な時間を共有し、お客様はその価値を買っているのです。

 

繋がりそのものが価値になる時代だということ。例えば、口紅。原材料が工場では“素材”となり、完成すると“製品”となり、店頭に並べられると“商品”となります。そしてお客様の手に渡る時、それは“夢”になります。

 

そう、今は誰もが、自分の人生を彩る物語と夢を求めているのです。それを届けることも大事なホスピタリティなのですね。大切なのは、単にモノがモノとして存在するのではなく、そこに夢や物語が生まれているかということ。

 

お客様との接点においても、販売員の女性がお客様の夢や物語をどこまで一緒に紡いでいくことができるか。心がどれだけ触れ合うかということが全ての原点になるのですね。

「市場のニーズ」だけではお客様の期待を超えられない

「市場のニーズなどなく、あるのは個人のニーズだけなのです。」

――市場、マーケットという思いこみ

セグメンテーションという思いこみ(渕之坊にて)

 

【ひとりひとりのお客様の心に寄り添うという原点が大事】

 

ビジネスセミナーでは、市場のニーズを捉えなさいとか市場のニーズに合わせた商品開発をしなさいなどと言われますね。マーケティングのプロがよく使う表現です。

 

さらに、シニア世代、IT世代、キッズ、LGBTQなど、様々なセグメントを対象にしたプロモーションも提案します。確かにそれぞれの市場ごとに趣味嗜好や経済力、価値観など共通のニーズがあることは否定できません。

 

しかし、例えば1万人のお客様をセグメントで括ったとたんに、お客様の顔が見えなくなってしまいます。市場とは何か。それは個人のお客様の集合体のことなのです。だからリッツ・カールトンでは、「市場にニーズなどありません。ひとりひとりのお客様のニーズがあるだけです」と言っていました。

 

感動は、お客様の期待を超えたところで生まれます。その感動を持続させることが感謝に繋がります。ホスピタリティの本質はそこにあると思うのです。仕事をするうえでの基礎体力はマニュアルトレーニングで培われます。型をつくるといってもいいでしょう。

 

しかしマニュアルどおりのサービスは、失敗はないかもしれませんが、驚きや感動は生まれません。市場を対象とした均一なサービスを、ひとりひとりに合わせたホスピタリティに昇華させることで感動が生まれるのです。時々は、市場やセグメンテーションという思考の枠組みを離れてみてはいかがでしょう。

 

 

高野 登

善光寺寺子屋 百年塾 塾長

人とホスピタリティ研究所 代表

元リッツ・カールトン日本支社長

 

 

善光寺寺子屋 百年塾 塾長
人とホスピタリティ研究所 代表
元リッツ・カールトン 日本支社長 

1953年5月9日生まれ。長野県出身。1974年、プリンスホテルスクール(現日本ホテルスクール)卒業。同年、渡米し、NYホテルキタノ、NYスタットラーヒルトンに勤務。1990年、リッツ・カールトンに移籍。1994年、日本支社に転勤。支社長として、リッツ・カールトンの日本におけるブランディング活動を行う。2009年、退社し長野市長選に出馬。現職に651票差に迫るも惜敗。

2010年、人とホスピタリティ研究所を設立。現在は講演活動やラジオ出演など、多岐に渡る活動を行っている。著書も多数出版。

著者紹介

連載百年思考~ホスピタリティの伝道師が説く「日々の在り方」

百年思考 ホスピタリティの伝道師が説く「日々の在り方」

百年思考 ホスピタリティの伝道師が説く「日々の在り方」

高野 登

かざひの文庫

善光寺寺子屋「百年塾」の、心に静けさを取り戻す講話100選。 私たちはみな、自分の時代を生き、その後の時代の人たちへバトンタッチする役目があります。今を生きている自分たちの繁栄だけを考えるのではなく、「百年先を…

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