内容紹介:
長年にわたって人々に愛され、そして人々を魅了し続けた築地市場は、2016年11月、その80年の歴史に幕を下ろす。
築地市場の魅力とは一体何か。それは、伝統であり、そこに根差す人の生き様であり、情熱、技、知恵であり、築地にしか存在しない、歳月の重みを伴った、魂とでも言うべきものではないだろうか。
それを追って、4年に渡って河岸に通い市場人と魚を撮り続けた写真家と、河岸に魅せられ15年働いた経験を持つ歴史ライターのふたりが、カメラとペンを駆使しながら「築地」を生き生きと写し取る。
ページをめくれば、市場のあふれるような活気とともに、激しいセリの緊張感、魔法のごとく並べられていく大量の木箱とその中ではぜる魚、数百キロのマグロを軽々と鮮やかに運び去る荷役の後姿・・・そんな圧倒的な空気や映像が迫ってくるだろう。そして、市場が引けたあとのしんとした静寂も。
オリンピックを控え、変わり行く東京。この本は、400年続く江戸の河岸文化を語る貴重な資料になるはずだ。
書籍名:『築地の記憶 人より魚がエライまち』
著者:さいとうさだちか(写真)/冨岡一成(文)
さいとうさだちか
1946年東京生まれ。写真家。自動車、オートバイなどの分野で活躍を続けてきたが、河岸の文化に魅せられ、2012年から築地市場の撮影を開始する。市場の時間に合わせるために住まいも勝どきに移し、活きのいい市場人と魚を撮り続けている。撮影した写真は『サンデー毎日』『GQ JAPAN』などでも発表。共著『テストパイロットインジャパン』(鳴海章・エイ出版)。
冨岡一成
1962年東京生まれ。博物館の展示や企画の仕事を経て、1991年より 15年間、築地市場に勤務。「河岸の気風」に惹かれ、聞き取り調査をはじめる。このときの人との出会いからフィールドワークの醍醐味を知る。実は子どもの頃から生魚が苦手なのに河岸に入ってしまい、少し後悔したが、その後魚好きになったときには辞めていたので、さらに後悔した。江戸や魚の文化史的な著述が多い。近著『江戸前魚食大全』(草思社)。
出版社:旬報社
価格:本体1700円+税