厚生労働省によって令和元年賃金構造基本統計調査の結果が発表されました。本記事では、初任給に関してさまざまな角度から調査していきます。

都道府県別の平均初任給の差に絶句…

厚生労働省によって、令和元年12月に『賃金構造基本統計調査』(初任給)の結果が発表された。

 

まずは、都道府県別の初任給額を見ていく[図表1]。一番初任給が高額なのは東京都「22万500円」、そのあとに千葉県「21万1700円」、神奈川県「21万800円」、埼玉県「21万400円」と続いており、やはり人口が集中する1都3県は給与が高くなっている。

 

初任給の額が一番低くなっているのは、沖縄県「17万5000円」。宮崎県「18万8000円」、秋田県「19万100円」と続く。家賃などの条件がかなり違うとはいえ、初任給だけで東京都と約5万円異なることになる。

 

ここまで差が生じると、なかなかIターン就職やUターン就職といった選択を新卒者が取ることは難しくなるだろう。

 

※令和元年度『賃金構造基本統計調査』より編集部作成
[図表1]都道府県によって生じる初任給の差  ※令和元年度『賃金構造基本統計調査』より編集部作成

 

学歴でも初任給額に大きな差が生じる。高校卒と大学卒では平均3万6000円異なるが、一番差額が大きく開いているのは宮城県「4万2900円」、一番差額が小さいのは大分県「2万6200円」となった[図表2]

 

大学卒の初任給が低い地域だと、高校卒の初任給も低くなっている。沖縄県の場合、高校卒の初任給は「14万5000円」。完全週休2日制の8時間勤務だと時給換算で約900円。ほかの県と比べると非常に厳しい状態である。

 

※令和元年度『賃金構造基本統計調査』より編集部作成
[図表2]学歴によって生じる初任給の差  ※令和元年度『賃金構造基本統計調査』より編集部作成

学歴だけでなく性別でも約1万円の差がある県も…

男女でも初任給に差が生じている[図表3]。大卒初任給を見ていくと、一番差額が大きのは山梨県「1万3800円」。男性の初任給のほうが約1万円以上高くなっている。一方、女性の初任給のほうが多い地域もある。岩手県「5000円」、千葉県「4100円」と、女性の初任給が高くなっているが、全国的には平均「5500円」ほど男性の初任給が高くなっている。

 

平成21年度の大卒の男女の初任給の差は6500円なので、性別による収入格差は10年以上変わらず残っているといえよう。

 

※令和元年度『賃金構造基本統計調査』より編集部作成
[図表3]男女差によって生じる初任給の差  ※令和元年度『賃金構造基本統計調査』より編集部作成

 

世界経済フォーラム(World Economic Forum)が2019年12月に発表した、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成される世界男女格差指数(Global Gender Gap Report 2020)の結果が121位だったのも不思議なことではない。

 

若者の貧困も問題視されて久しい。次世代のためにも地域・性別による格差をなくしていく必要がある。

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