軍用地の購入時にかかる「6つの諸経費」
ここでは、軍用地購入時に必ず必要になる諸経費について説明します。軍用地投資でかかる諸経費は一般的な不動産投資でかかる諸経費と同じです。
先ほど購入時にかかる諸経費を簡略して計算すると、軍用地の価格の7%ほどになるという話をしました。筆者などは、収支計算をするために早急に概算を出したい場合、この数値を使ってシミュレーションを行うこともあります。
諸経費の内訳は次の6つです。
1.不動産仲介手数料
2.所有権を登記する際の登録免許税
3.司法書士報酬
4.契約書に添付する印紙税
5.固定資産税
6.不動産取得税
それでは一つずつ見ていきましょう。
1.不動産仲介手数料
不動産仲介手数料は、宅地建物取引業法(宅建法)で定められている不動産の売買の際に仲介業者に支払う費用です。成功報酬であるため、実際に契約が成立した時点で支払います。業者に買い付けを入れたり、売却依頼をするだけの場合は支払う必要はありません。
金額は次ページの表のように不動産の売買価格によって変わってきます。500万円の軍用地の場合、物件価格の3%+6万円になるので(500万円×3%+6万円=21万円)が仲介手数料となります。また、この仲介手数料には消費税もかかってくるので注意しましょう。
2.所有権を登記する際の登録免許税
登録免許税とは不動産登記をするときにかかる税金のことです。不動産を購入した後は、所有権を登記しなければ権利を主張できません。
登録免許税=固定資産税評価額※(課税標準額)×20/1000(税率)
※固定資産税評価額については5の固定資産税のところで説明します。
3.司法書士報酬
所有権の移転登記を自分で行わない場合は、司法書士に依頼することになります。ネットで調べる限りおおよそ、所有権移転登記で2万5000円以上が相場のようです。さらに、融資で購入する場合は抵当権設定登記で別途2万5000円以上が必要になります。
宅建法で定められた不動産仲介手数料とは異なり、司法書士報酬は自由化されています。そのため、もっと安い料金設定の司法書士もいれば、もっと高額な手数料を取る司法書士もいます。ですから、複数の司法書士に見積もりを依頼するといいと思います。
4.契約書に添付する印紙税
売買が成立した場合、売買契約書や金銭消費貸借契約書(ローンの契約書)には収入印紙を貼る必要があります。契約書や領収書、手形、株券など主に商取引に用いられる税文書を作成した場合は印紙税を納めなければならないのです。これは印紙税法で定められており、税額は記載された契約金額などに応じて細かく分類されています。
5.固定資産税
固定資産税は市区町村の税金であり、毎年1月1日に不動産を所有している人にかかる税金です。1月1日時点での所有者が1年分の固定資産税を納めます。不動産の売買が成立した場合は、日割り計算で精算をします。
たとえば、固定資産税が365万円だとして300日目に売買が成立したとすると、365万円×(365日-300日)/365日=65万円は買主が負担をする(売買時に売主に支払う)ことになります。
軍用地料は日割り精算しない場合もあるのに、固定資産税はキッチリ精算する習慣になっていて、これには不公平感を抱かざるを得ません。
固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%
固定資産税評価額とは固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税を計算するために使う評価額のことです。固定資産税評価額の具体的な価格は総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて各市区町村が決定、原則として3年ごとに見直されています。
固定資産税通知書には地目ごとや所在地ごとに評価額が記載されており、宅地に比べて土地の価値が低い農地や山林などは評価額も低くなっています。さらに、基本的に軍用地に対する固定資産税は、国の借地権が付いているため、土地の評価額が他と比べ、約3分の1とかなり低くなっています。
ちなみに筆者が最初に232万円で購入した金武町のキャンプ・ハンセンは課税標準額が30万円未満なので、税金がかかりません。ちょっと得した気分です。
6.不動産取得税
不動産取得税は、売買・贈与で土地や建物を取得したとき、また建物がある場合は新築・増築したときに、その不動産が所在する都道府県が課税する地方税です。500万円程度の軍用地を購入した場合、およそ2万円くらいになります。納税通知書は取得後6ヵ月~1年半くらいしてから届くので、うっかり忘れていてあわてる人も多い費用です。
軍用地の不動産取得税=固定資産税評価額×3%(沖縄の標準税率)
仲里 桂一
軍用地投資コンサルタント
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