今回は、事業承継の選択肢としてのM&Aが、経営者にとっても、従業員・取引先にとっても有効的な手法である理由を見ていきます。

M&Aのメリットは大きく分けて4つ

本連載では、会社の事業承継の手法として、社内での事業承継、株式公開、M&Aという選択肢を紹介してきました。既にお気づきのように、オーナー社長本人にとっても、また従業員や取引先といった関係者にとっても、もっとも現実的かつ一般に有利な手法がM&Aなのです。

 

M&Aのメリットは、以下の4点にまとめることができます。

 

①事業が存続すること

②従業員の雇用継続が図れること

③会社の経営が安定すること

④オーナー社長の手残りが多くなる可能性があること

 

①と②は、会社が存続することでその活動や価値がそのまま残るということです。

 

③は、例えば上場企業をはじめとする大企業のグループに入ることで、会社の経営が安定し、ブランド力によって企業活動がやりやすくなったり従業員の働く意識が高まったりすることがあります。

 

また、例えば製造だけを行っていた会社が卸や小売りといった業態の会社のグループに入ることで、川上から川下まで一貫した活動ができるようになり、競争力が強まるといったケースも多いのです。会社の価値が高まるだけでなく、従業員の活躍の場も増えます。

売買金額の算出には会社の将来性も考慮

M&Aでは一定のプレミアム価格を加算して売買が行われるケースが少なくありません。簡単にいうと、長年積み上げてきた資産だけではなく、この先に生み出すであろう利益の部分も考慮して売買金額が決まっていきます。これに対して、廃業・清算では「会社の資産を処分した時点での価値」しかないのです。

 

さらに、税制面でもM&Aは有利になることがあります。社長業の最後の総仕上げが事業承継です。自身の第二の人生をより充実したものにするためにも、“手残り”を最大化する工夫が大切になってくるのです。

【図表 M&Aを選んだほうがいい理由】

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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