ところ変われば、アパート経営も変わる……不透明感増すなか、地域の特性を把握して、ニーズに即したきめ細やかな対応が求められています。そこで地域ごとのアパート経営の実情を探っていきましょう。第1回目は首都圏。お話を伺ったのは、アイケンジャパン東京本社長の内山裕文さんと、管理部係長の金井彩さんです。

首都圏のアパート経営…国道16号線、駅から10分

左:アイケンジャパン東京本社長内山 裕文さん 右:アイケンジャパン東京本社管理部係長金井 彩さん
左:アイケンジャパン東京本社長内山 裕文さん 右:アイケンジャパン東京本社管理部係長金井 彩さん

 

新築アパート経営を成功させるためには、いくつかのポイントがありますが、そのひとつが物件のロケーションです(関連記事:『なぜ「新築アパートの家賃」は、時間とともに下がるのか?』)。首都圏のアパート経営では、どのような立地のアパートを選べばいいのでしょうか。

 

成功するアパート経営の立地条件として、内山本店長は国道16号線がひとつの目安だといいます。

 

内山「国道16号線は、東京都心部を中心として、神奈川県、埼玉県、千葉県を一周する環状道路です。その内側は東京駅を起点として通勤1時間圏内。最寄駅から10分以内のアパートであれば、都心で働く社会人にとっても交通利便性が高く安定したアパート経営が実現すると考えています。神奈川は山手線の西側、新宿や渋谷を起点に考えられるので、もう少し範囲は広がり、藤沢や茅ヶ崎辺りが西端となります」

 

*東京湾口に海上区間があり、観音崎(神奈川県横須賀市) ~ 富津岬(千葉県富津市)の分断区間では、代替のフェリーが結んでいた

 

アイケンジャパンが新築アパートを建てる際、都心への通勤時間が1時間がひとつの目安に
アイケンジャパンが新築アパートを建てる際、都心への通勤時間が1時間がひとつの目安に

 

 

アイケンジャパンが首都圏で新築アパートを造る際、東京駅を起点として40kmがひとつの目安だといいます。それが国道16号線、都心への通勤時間1時間圏内だといいます。かつ最寄駅から10分圏内であれば、社会人女性のニーズに対応できるというのです。

 

金井「私たちは社会人女性に選ばれる物件造りを心がけていますが、首都圏の場合、最も気にすることのひとつが通勤時間です。満員電車での通勤は大変ですから」

 

何かと一都三県と一括りにされることが多いですが、首都圏のアパート経営において、東京は別格だといいます。

 

内山「延期になりましたが、2013年の東京五輪開催決定以来、東京の地価は上昇を続け、高止まりしている状態。そのため東京のアパートはどうしても敷地面積がほかよりも小さくなります。弊社で手がける標準的なアパートよりも少々狭く、ロフト付き22平米くらいの広さ。それでも周辺のアパートと比べて、随分と広く感じる造りをしていると思いますよ」

 

首都圏の融資事情は、依然として厳しい状況が続き、物件価格の20~25%程度の自己資金が必要だといいます。どうしても物件価格が高くなってしまうので、昨今は、地方に活路を見出そうとする投資家も増えているそうです。

 

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アパート経営がしたい!家族からの反対が少ない首都圏

全国的にみても地価の高い首都圏。ここでアパート経営を行うのは、どのような人なのでしょうか。

 

内山「弊社のオーナーでいうと、経営者や外資系勤務の会社員の方が多いですね。年収1,000万円超の方がボリュームゾーンでしょうか」

 

アイケンジャパンの新築アパートの物件価格は、埼玉、千葉、神奈川で1億円弱が多いといいますが、東京都心だとさらに高くなるといいます。

 

内山「先日完成した、東京・品川の新築アパートは、8部屋で2億円ほど。そのうち3/4は土地代です。やはり東京のアパートは、地価の分だけ高くなってしまいますね」

 

そんな首都圏のアパート経営ですが、もうひとつオーナーに特徴があるそうです。

 

金井「ご夫婦の場合、たとえば旦那さんはアパート経営に熱心なのに、奥様はまったく関与してこない……それぞれが独立した考え方をされているんでしょうね。

 

『アパート経営に興味があるけど、奥さんに反対されて……』という、いわゆる“嫁ブロック”は、首都圏のオーナーさんの間ではあまり聞かれません」

 

ご家族の反対が少ない分、首都圏でアパート経営を始めるハードルは低そうです。

コロナ禍で家賃滞納、空室増のアパートが目立つように

そんな首都圏のアパート経営事情。このコロナ禍で経済的に困窮し大学を退学する学生や収入減に陥る社会人が増え、家賃滞納や空室増を訴えるアパートが増えています。

 

金井「弊社のアパートは満足いただける設備を完備しており、適正な家賃価格設定をしていることで、賃貸ショップの方からも『お得感がある』とご好評いただいています。どんな入居者にとっても魅力的な物件であるため、コロナ禍であっても、高入居率を維持できるのです」

 

東京をはじめとする首都圏では、人口減少がトレンドの日本のなかでも、安定した人口増が続くとされていました。しかし、そんな東京でもコロナ禍によって人口が流出。2020年11月現在、4ヵ月連続で転出超過となっています(総務省発表『住民基本台帳人口移動報告』による)。

 

不確かな状況のなか、高入居率を維持する安定したアパート経営を実現させるためには、入居者にとって「お得感」のある、魅力的な物件を造ることができるかが鍵になってきそうです。

 

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