アパート経営で勝つための「ロケーション」とは
性別に関わらず、平等に活躍できる社会へと変化が進んでいるものの、いまだ男女間の給与には差違が残っています。「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、30歳~34歳の男女の平均給与は次の通りでした。
30~34歳女性:24万7千円
中島「事実、いまだに給与差があり、男性より女性のほうが平均所得が低い傾向がありますが、女性のほうが部屋探しにこだわりを持っています(関連記事:『新型コロナ感染拡大…入居者ニーズはどのように変化したのか?』。そんな女性に認められる物件を造ることで、入居者が絶えない、人気のアパートになるのです」
先日発表された、総務省統計局「家計消費単身モニター調査」(2020年7月)で男女別に住居費を比較すると、30~34歳で、男性43,472円に対して女性49,549円。給与差があるのに関わらず、女性のほうが住居にあてる金額は大きいという結果がでました。
アイケンジャパンは創業以来、男性よりも家賃にシビアで、かつ学生よりもこだわりを持った社会人女性をターゲットにした物件造りを徹底。その結果驚異の「入居率99%」を維持しています(2020年9月現在)。その数値を維持できている理由のひとつが、物件のロケーションだといいます。
中島「アイケンジャパンのアパートは、首都圏であれば最寄駅から15分、地方であれば10分以内の物件を作るよう心がけています。また、東京駅を起点として半径約40km以内にアパートを作ることで、土地の価値を保つことにも成功しています」
首都圏で40kmといえば、(電車を利用した)通勤1時間圏内。一方、福岡の通勤時間は平均37分、仙台であれば平均30分。社会人女性をターゲットにしているから、通勤圏内に物件があることはマスト。また都市ごとに通勤事情は異なるので、交通網の発達度合いや通勤平均時間を考慮し、通勤利便性を考慮した立地を選ぶことが重要なのです。
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入居者にとって「お得な物件」を造る必要がある
新築アパート経営にとって、高い入居率を維持し続けるには、家賃設定が重要だと中島社長はいいます。
中島「家賃は安ければいいというわけではなく、入居者に『コスパがいい』と感じてもらえることが重要です。たとえば、地方で部屋探しをしている人が、ワンルーム6万円の物件を検討しているとします。そこに『あと5,000円出せば1LDKの物件に住めますよ』と言われれば、お得だと感じる人が多いでしょう」
実際、アイケンジャパンの女性社員のなかに「場所と間取りにこだわって、想定の家賃よりも5,000円ほど高い物件を選びました」という方がいました。つまり、こだわっているポイントを抑えている物件であれば、家賃が多少高くなってもしょうがないと考える人が多いのです。
物件探しの最優先項目は家賃ですが、ある程度妥協できるのも家賃。つまりコスパがいい物件と感じてもらえれば、家賃ではなく、物件そのものの価値、つまり「物件力」が決め手になるということになるのです。
新築アパート経営で大切なのは「適正な家賃設定」
中島「新築アパート経営の失敗談を伺うと、新築アパートだからといって相場よりも高い家賃設定をし、経年とともに家賃が下落しているケースがほとんどです。つまり家賃設定が適正でなかったということです」
中島社長がいうように、新築アパートの場合、「新築プレミア価格」として、相場より高い家賃設定にて販売する業者が後を絶ちません。しかし、新築でなくなったとき、当初の家賃収入を継続して得られる物件は少ないでしょう。
中島社長は家賃下落の要因として、以下の3つをあげます。
要因1.そもそもの家賃設定が高すぎる
要因2.入居者ニーズを無視した物件(間取りや設備等)
要因3.経年による建物の老朽化
要因1は、新築プレミアムという考え方を排除することが必須です。要因2は、入居者ニーズに応える家賃設定や物件(間取りや設備等)で「コスパがいい」と感じ続けてもらうことで克服できます。要因3は定期的なメンテナンスやリフォーム等が必要になります。
下記にアイケンジャパンによるアパートと、周辺の同条件のアパートの家賃相場を比較したデータがあります。
それによると、アイケンジャパンの新築アパートは、周辺相場よりも平均して4,000円程度安いのに対し、築5年経過すると、その差は200円程度、ほぼ同等になります。さらに築6年目以降の物件で比較すると、アイケンジャパンのアパートのほうが平均して3,500円以上も家賃が高くなります。つまり、周辺のアパートは新築プレミアムによりそもそもの家賃が高く、経年により家賃の下落が止まらないのに対し、アイケンジャパンのアパートは、新築時から一貫して家賃が一定であることを意味します。
新築時 | 周辺相場>アイケンジャパン物件平均 | 差異平均+4172円 |
~築5年 | 周辺相場>アイケンジャパン物件平均 | 差異平均+266 |
築6年~ | アイケンジャパン物件平均>周辺相場 | 差異平均-3512円 |
中島「弊社では新築プレミアムを設定しておらず、他の物件にはない設備や間取り、デザイン、防音対策、管理力などのおかげで、築年数が経っても家賃が下がらない傾向にあると考えています」
コロナ禍で激変するなか、入居率99%をずっと続ける新築アパート経営のためには、アイケンジャパンが実践するような「コスパがいいと感じてもらえる家賃設定」、そしてそもそも「家賃の下がらない物件造り」が絶対なのです。
次回、入居者に「コスパがいい」と感じてもらえるための「物件力」についてみていきます。