世界の小型株は出遅れ
大型株主導の回復
■世界の株式市場では、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、小型株のパフォーマンスが大型株を下回る動きが顕著です。世界株価指数(MSCI ACWI)をみると、3月にかけて急落後反発し、足元では年初来パフォーマンスが+0.9%と、昨年末の水準を上回るところまで回復しています。ただ、内訳をみると、大型株が同+1.7%であるのに対し、小型株は同▲6.2%と、大きく出遅れています。
■この背景は、小型株には内需関連銘柄が多く、コロナ感染拡大で消費が大きく落ち込んだことにあると考えられます。一方、大型株にはコロナ感染の影響で需要の高まった情報技術セクターなどの主要銘柄が含まれているためパフォーマンス格差が生じたとみられます。
アジアの小型株は堅調
米欧は大きく出遅れ
■各国・地域の小型株の動向をみると、米国の小型株(同▲8.4%)や欧州(同▲7.3%)が大きく出遅れているのに対し、日本は小幅安(同▲2.3%)、アジアは同+4.5%の上昇と、アジアの堅調さが目立ちます。アジアは、コロナ感染が他地域に比べると抑制されている国が多く、小型株の相対的な高パフォーマンスにつながっている模様です。
コロナ感染が落ち着けば小型株に資金流入も
■9月に入りそれまで大きく買われてきた情報技術やIT関連の銘柄が調整したことに加え、欧州での感染再拡大などで世界経済の影響に左右されやすい自動車などの大型株にも買いが入りにくくなっている模様です。こうしたなか、ワクチン開発などによりコロナ感染の収束が視野に入れば、出遅れている小型株に資金が流入することが期待されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『コロナ感染拡大で出遅れた世界の小型株』を参照)。
(2020年10月1日)
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