小売売上高が前年比プラス
鉱工業生産は5ヵ月連続プラス
■中国国家統計局は15日、主要経済指標を発表しました。8月の小売売上高は前年同月比+0.5%と、7月の▲1.1%からプラスに転じました。前年同月を上回るのは昨年12月以来です。業種別にみると、新型コロナウイルスの影響から飲食業は▲7.0%と引き続き出遅れているものの、新車販売が好調な自動車(+11.8%)に加え、化粧品(+19.0%)や宝飾品(+15.3%)などが伸びました。
■8月の鉱工業生産は前年同月比+5.6%と、7月の+4.8%から伸び率が拡大し、5ヵ月連続のプラスとなりました。品目別の生産量をみると、在宅勤務で需要が増えたコンピューター(+12.0%)や、産業用ロボット(+32.5%)などが高い伸びとなりました。
固定資産投資はほぼ前年並み
不動産開発投資は3ヵ月連続プラス
■1~8月の固定資産投資は前年同期比▲0.3%と、1~7月の▲1.6%から減少率が縮小し、ほぼ前年並みに戻りました。内訳をみると、堅調なマンション販売などから、不動産開発投資が+4.6%と、3ヵ月連続で前年を上回りました。
順調な回復が続けば、市場の経済成長予想は引き上げへ
■8月の主要経済指標はいずれも市場予想を上回り、中国景気の回復ペースが加速していることを示しました。特に、高額品の販売回復など、これまで出遅れていた消費に明るさが見え始め、景気回復は生産から投資、消費へと広がりつつあるとみられます。こうした状況の下で、弊社は、中国政府が景気過熱への警戒感から追加の景気対策を行わないと想定しており、2020年の実質GDP成長率見通しを+2.6%と予想しています。このまま中国経済が順調な拡大を続ければ、+2.1%成長見込みに止まる市場予想が上方修正される可能性があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国経済は出遅れていた消費が前年比プラスに』を参照)。
(2020年9月16日)
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