人間とチンパンジー、98.8%同じ…成長分けた「決定的な差」

尾崎 裕
人間とチンパンジー、98.8%同じ…成長分けた「決定的な差」

脳が疲れ情報を処理しきれなかったとき、ながら行動のとき、気持ちが焦ったときなどに、思いもよらないミスをしてしまうことがあります。ヒューマンエラーを防止するには、活動の流れを追って「要因」を見つけ出すことが重要なのです。※本記事は化学系会社にて5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局を担当していた尾﨑裕氏の書籍『ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

人間とチンパンジー、ゲノムの違いはわずか1.2%

ヒューマンエラーはなぜ起きるのでしょうか。その答えを出すためには、人間とはどんな生き物なのかを知っておく必要があります。

 

人間は今からおよそ500万年前、チンパンジーの仲間から進化したと考えられています。人間と人間に最も近いといわれているチンパンジーのゲノム(全遺伝情報)を比べてみると、約98.8%が同じだそうです。驚くことに、その違いはわずか1.2%です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、人間とチンパンジーとでは、その行動には大きな違いがあります。人間は、道具を使い、社会を形成します。そもそも“人間とは何か?” など、自らが何者であるかを考えることができる動物は人間しかいないのです。それならば、何がこれほど両者の違いを生み出すのでしょうか。

 

大きく違うのが、脳だそうです。脳の重さは、人間が1.2~1.5kg です。チンパンジーの約3.5倍の重さがあります。また、人間とチンパンジーの脳の中で、遺伝子が働いている数を比較したところ、7.7倍の差があったとも報告されています。(日本経済新聞社 2018年10月14日の記事より)

 

学習や記憶は、脳にある神経細胞において特定の“遺伝子スイッチ”が入ることで行われます。詳しい仕組みは、まだ判明していないそうですが、つまりは学習や記憶に関わる脳内の“遺伝子スイッチの活動”に大きな差があるのです。

 

高度な言語能力を有し想像力豊かな動物、それが人間です。人間のこの素晴らしい能力を可能にしているのが、高度に発達し活動することができる脳です。しかし、時に私達の脳は思わぬ誤作動を起こすことがあります。それが“ヒューマンエラー”と呼ばれるものです。

 

ヒューマンエラー=脳の誤作動 (画像はイメージです/PIXTA)
ヒューマンエラー=脳の誤作動
(画像はイメージです/PIXTA)

何故、気を付けていてもヒューマンエラーは起こるのか

ヒューマンエラーとは、“事故やトラブルのキッカケになる人間の間違い”だと定義できます。言い方を変えると、“自らが取った行動の中で、意図した結果で終わらなかったもの”とも言えるでしょう。

 

しかし、人は自らが好んで間違った行動を起こすわけではありません。その理由は、誰しも自分が間違いを犯すことを望まないからです。そして、脳というものは常に最良の結果を出すように動きます。

 

であれば、なぜ人は間違った行動をしてしまうのでしょうか。

 

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