全体の流入超過額はMMFの流出で縮小
■8月の投信マネーは全体で+60億ドル(7月+820億ドル)の流入超過にとどまりました。「MMF」が▲792億ドル(同▲20億ドル)となったことが主因です。次第に金融環境が正常化していると思われます。内訳は「債券」が+838億ドル(同+689億ドル)と流入が加速しました。一方、「金」などを含む「オルタナ」は+83億ドル(同+128億ドル)、「バランス」は▲25億ドル(同▲30億ドル)でした。「株式」は▲44億ドルと前月の+53億ドルから流出超に転じました。
債券ファンドは米国クレジットに加え、欧州にも流入
■債券ファンドは「米国」を中心に流入が続いています。「投資適格社債」、「ハイ・イールド社債」といったクレジットファンドへの流入が目立ちます。加えて、欧州債券などへの流入が増加傾向となっています。
株式ファンドは流出超過額が縮小
■株式ファンドは「先進国」が▲1億ドル(同+53億ドル)でした。「北米」が▲158億ドル(同▲102億ドル)、「アジア(日本を含む)」が+13億ドル(同+44億ドル)等でした。一方、「新興国」は▲43億ドル(同▲290万ドル)でした。7ヵ月連続の流出超です。
9月第1週、株式ファンドのセクター別資金フローは「テクノロジー」が流出超
■新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、世界経済は不透明感が強い状況です。こうした中、世界の株式ファンドをセクター別の資金フローでみると、今年に入って「テクノロジー」に資金流入が集中しています。9月第1週は、「テクノロジー」が11週間ぶりに流出超に転じました。流出超過額は1.4億ドルでそれまでの週平均10億ドル台の流入超過に比べると少額です。ハイテクセクターの急ピッチな株価上昇の反動という側面もあって流出超となりましたが、今後、「テクノロジー」への流入が回復するかが注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『世界の「投信マネー」(2020年8月)』を参照)。
(2020年9月11日)
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