高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。本連載では、書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を、医師である梶川博氏・森惟明氏が徹底解説します。
脳卒中の患者数は「癌」の1.5倍、心臓病の3.5倍
脳神経外科が診療科(標榜科)名として定着しており、一般に脳外科とは略しますが、神経外科とはいいません。英語では脳神経外科はNeurosurgery(ニューロサージャリー)、専門の脳神経外科医はNeurosurgeon(ニューロサージャン)といいます。
脳卒中で死亡する人は減っているにもかかわらず、入院治療を余儀なくされている人が多いのは、ひとたび脳卒中に罹ってしまうと、麻痺や、言葉の障害、意識がはっきりしないなど、社会復帰が難しい症状が後遺症として残るからです。また、脳卒中は「寝たきり」の最も多い原因です。
脳卒中で入院して治療を受けている人は、「癌」の1.5倍、心臓病の3.5倍にも上ると言われています。脳卒中の入院患者はすべての入院患者の実に16%を占めています。この脳卒中の専門治療は、慢性期にも主に脳神経外科医と脳神経内科医の手に委ねられています。
基幹病院などの総合病院や脳神経外科専門病院における脳卒中診療は、脳神経外科医、脳神経内科医、麻酔科医、循環器科医などによる総合診療体制が整っています。脳神経外科医と脳神経内科医の協力診療体制が理想的です。
脳梗塞超急性期では、内科的治療法と外科的治療法を刻々選択していかねばなりません。急性期や維持期においても、治療法選択は両診療科の合議制がとられていることが患者さんにとって理想的です。我が国では現在、脳神経外科医が約8000人いますが、日本の脳神経外科医は手術だけをしているわけではありません。脳卒中救急診断から、手術的治療のみならず薬物療法を含む非手術的治療も行い、総合的かつ専門的な知識と診療技術を持って、脳卒中の診断・治療・予防を行っています。
しかしながら、近年では脳卒中を主領域とする脳神経内科医が確実に増加しつつあり、脳神経外科医の守備範囲が狭まってきています。それによって両診療科の専門性や分担制が高まり、今後は脳卒中診療がより効率的になっていくと考えられます。
※本記事は連載『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』を再構成したものです。
梶川 博
医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長
森 惟明
医学博士
医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長
日本脳神経外科学会認定専門医
日本脳卒中学会認定専門医
日本神経学会・日本認知症学会会員
広島県難病指定医、
広島県「もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
日本医師会&広島県医師会
日本医療法人協会&全日本病院協会広島県支部所属。
広島県広島市出身 1957年修道高等学校卒業、1963年京都大学医学部卒。
1964 聖路加国際病院でインタ−ン修了、医師国家試験合格、アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格、1968年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。
1970年広島大学第二外科・脳神経外科(助手)、1975年大阪医科大学第一外科・脳神経外科(講師、助教授)。
1976年ニューヨーク モンテフィオーレ病院神経病理学部門(平野朝雄教授)留学。1980年梶川脳神経外科病院(現医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター)開設。医学博士。1985年槇殿賞(広島医学会会頭表彰)、1996年日本医師会最高優功賞。
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医学博士
大阪府立北野高校を経て、1961年京都大学医学部卒。大阪北野病院でインタ−ン修了。
1961年アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格。
1967年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。1968年日本脳神経外科学会認定医。1969年京都大学脳神経外科助手。
1971年シカゴノースウエスタン大学脳神経外科レジデント。1975年京都大学脳神経外科講師。1979年京都大学脳神経外科助教授。1981年高知医科大学(現高知大学医学部)脳神経外科初代教授。
1992〜1999年厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究班班長。1992年第2回高知出版学術賞受賞。
1996〜2000年高知県医師会理事。1999〜2001年国際小児神経外科学会倫理委員会委員長。
2000〜2001国際小児神経外科機関誌「Child's Nervous System」編集委員。2000年高知大学名誉教授。著書多数。
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