11年ぶり高水準で「株高」なるか…2020年上半期のM&A事情

新型コロナウイルス感染拡大の影響がM&A市場に影を落としているものの、日銀による、潤沢な資金供給が買い手企業を後押ししたことで、2020年上半期のM&A件数は「11年ぶりの高水準」となった。今回は、株式会社ストライク執行役員広報部長の日高広太郎氏が、上半期M&A好調の理由や、下半期の見通しなどを解説する。

2020年上期のM&Aは406件、11年ぶりの高水準に

2020年1~6月(上期)のM&A件数は、前年同期を11件上回る406件だった。4年連続で増加し、上期としては2009年(439件)以来、11年ぶりの高水準に達した。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響がM&A市場に影を落としているものの、日銀による潤沢な資金供給が買い手企業を後押ししている。市場関係者の間では、「企業間の活発なM&Aが今後の株高につながる」(auカブコム証券の河合達憲投資情報室長)との見方も出ている。

 

M&A仲介のストライク(M&A Online)が、適時開示情報をもとに経営権の移転を伴うM&A(グループ内の再編は除く)について集計した。

コロナ禍でも、M&Aの動きは進んでいく

上期は、海外案件の落ち込みを国内案件がカバーし、全体として件数増を保った。

 

全406件を四半期で見ると、1~3月が前年同期比10件増の232件、4~6月が同1件増の174件。このうち海外案件は合計68件で、前年86件を20件近く下回った。単月で、6月は9件にとどまり、2018年6月以来2年ぶりに月間1ケタとなった。

 

第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは「GAFAなどの世界的な規模拡大の動きを目の当たりにして、日本企業も一段のスケールアップをしなければ世界で闘えないことを理解してきた」と指摘。「企業取引のデジタル化、グローバル化も進んでおり、コロナ禍でもM&Aの動きは進んでいく」と分析している。

買収金額は低迷、コロナ禍で案件が小型化

上期の取引金額は1兆4671億円と、前年同期(2兆1605億円)に比べ約32%減となった。なかでも海外案件は3月以降、件数減に転じたうえ、金額の張る大型M&Aがほぼ姿を消している。コロナ禍の世界的拡大のなか、M&A市場は国内回帰の様相を帯び、案件の小型化が鮮明になった。


海外案件の件数減と並行し、コロナ感染が国内でも深刻化した3月から顕著になったのが案件サイズの小型化。上期中、取引金額100億円を超える大型案件は19件で、前年同期の30件から3割以上減った。月別の推移は1月4件、2月8件の後、3月2件、4月1件、5月2件、6月2件。海外案件の低調が背景にある。


こうした状況を反映し、緊急事態宣言と重なった4~6月の取引金額は3501億円(前年同期は1兆4288億円)と、過去10年間で、2013年(3481億円)と並ぶ最低水準に落ち込んだ。

中期的には大型案件も復活、株高に火をつけるか

現在、大規模なM&Aは鳴りを潜めているが、中期的には復活し、株式市場にも好影響をもたらすという指摘もある。

株式会社ストライク 執行役員 広報部長 

1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京社会部に配属される。ドラッグストアなど小売店担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京経済部に配属。財務省、経済産業省、国土交通省、日銀、メガバンクなどを長く担当する。日銀の量的緩和解除に向けた動きや企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。東日本大震災の際には復興を担う国土交通省、復興庁のキャップを務めた。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年8月にストライクに入社し、広報部長を務める。2019年より執行役員広報部長。

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