原油価格は経済活動再開と減産延長を背景に上昇
■北米の代表的な原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、この1ヵ月で20%以上上昇し、足元39米ドル程度で推移しています。
■協調減産実施によって市場が落ち着きを取り戻したことに加えて、世界各国・地域が新型コロナ感染抑制のために導入したロックダウン(都市封鎖)を緩和し、経済活動再開に動き始めたことが要因です。
■6月6日の会合で、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスが、日量970万バレルの大規模減産を7月末まで1ヵ月延長することを決定した点も安心材料となりました。
新型コロナ感染拡大によって幅広く需要が減少
■6月17日に公表されたOPEC月報6月号では、2020年の世界の原油需要予想は9,059万バレルと、前月見通しから変更ありませんでした。2020年の原油需要を前年比でみると、OPECは日量908万バレルの減少、国際エネルギー機関(IEA)は前月見通しから50万バレル上方修正し同810万バレルの減少と予想しています。
■新型コロナ感染拡大によって輸送用燃料、産業用燃料、石油化学原料など幅広く需要が減少しています。
今後は、経済活動再開と感染再拡大の狭間で推移
■原油価格は、ここまでロックダウン緩和による経済活動再開を背景に上昇してきましたが、新型コロナの感染状況を見ると新興国を中心に感染者数は増加しており、米国などでは感染再拡大が懸念されています。今後は、経済活動再開と感染再拡大の状況を見ながらの展開を予想します。
■ただし、8月以降は日量770万バレルへ減産幅の縮小が予定されているほか、6月8日にはサウジアラビアが別枠で実施している自主減産の6月終了を発表しており、今後の協調減産協議にも注意が必要です。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は経済活動再開を背景に上昇(2020年6月)』を参照)。
(2020年6月19日)
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