採用活動は、「いい人材」と出会えないことには始まりません。自社に魅力を感じてもらうために必要な観点や、メディア活用におけるコミュニケーションの手法を学んで、欲しい人材を惹きつける企業を目指しましょう。本連載では、実例の画像を用いながら、採用の原則原理について解説します。

「採用ページ」=自社の課題を解決する手段

自社サイト内に採用ページを持っている企業は多いですが、その9割以上は、企業紹介/事業説明/サービス紹介/仕事紹介/社員紹介/採用担当者からのメッセージ/採用データ、といったスタンダードな構成となっています。

 

もちろん定番の内容は欠かせませんが、忘れてはいけないのは、採用ページは自社の課題を解決する手段だということです。自社が採用で困っていることや、成し遂げたいことを踏まえてもう一手間かければ、採用ページの時点から他社にない競争優位を発揮することができます。

 

好事例を紹介しましょう。オーダーメイドウェディング事業などを手がけるCRAZYは「世界で最も人生を祝う企業」「本質的で、美しく、ユニークに」という非常に明快なビジョン・バリューを掲げており、一人ひとりがそれを大切にしています。

 

したがって、CRAZYらしさをもって成長していくうえでは、新たな仲間にもそのビジョン・バリューを共感してもらうことが、極めて重要な経営課題・採用課題となります。

 

この課題を解決するには、採用ページの段階から丹念に、コンテンツ、ビジュアル、コピーを研ぎ澄まし、自社らしさを理解してもらう必要がありますが、同社の採用ページ(https://www.crazy.co.jp/recru)は、まさにそれを体現した事例となっています。自社の世界観をあますことなく伝える内容であるとともに、採用活動のプロセスすべてがそれらを物語る手段となっており、ターゲット人材の心をつかむうえで効果的なものとなっています。

 

また、サイバーエージェントのオンライン説明会「サイブラリー(https://www.cyberagent.co.jp/careers/students/cybrary)」も、自社の採用課題に対する効果的なアプローチとなっています。

 

同社は2019年卒採用において、それまで膨大な時間をかけて実施していた会社説明会をWEB上の動画で行うこととし、学生・企業の双方にとっての「負荷軽減、時間の有効活用」を実現しています(2019年3月時点では、動画コンテンツだけでなく同社の新卒採用に関する情報がまとまったメディアに発展しています)。

 

もう1社、事例を紹介します。アサツーディ・ケイ(ADK)が2017年卒の新卒採用にて実施した「相棒採用(https://www.adk.jp/news/11218)」です。これは就活生が特設サイトより同社の社員を探し、「この人と働いてみたい!」という社員を指名して選考を受けられる採用方法です。

 

同社プレスリリースによると、「相棒採用」の導入には以下の狙いがあり、まさに採用課題と採用ページを緻密にリンクさせた事例として参考になります。

 

2017年卒採用では100名ほどの社員が相棒社員を務め、内定応諾率が前年比で27%改善という驚異的な成果をもたらし、「人で勝負する」というコンセプトをもとに、勝つべくして勝つ採用を実現させています。

 

【ポイント】

・広報から選考までを一貫した採用プロセスとし、応募者が社員と継続した接点を持つことで、相互に理解を深める機会をつくり、自社のことを知ってもらいロイヤリティを形成する

 

・ADKにとって会社の顔であり資産である社員一人ひとりが前面に立つことで、彼らを通じ、応募者に自社のリアルな姿を知ってもらい興味を持ってもらう

 

※それぞれのサイトは、【この記事の画像を見る】にて確認できます。

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