※本連載では『日本一社員が成長できる=幸せな会社』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋し、現代を生きる日本人の「働き方」について、具体的な事例をもとに解説していきます。

「月曜日が憂うつ」と考えるのは万国共通?

今ではあまり言わなくなりましたが、ひと昔前に「サザエさん症候群」というのがありました。日曜日の夕方にテレビアニメ「サザエさん」を見ていると、「これで休みも終わり。明日からまた会社(学校)か」と、憂うつでたまらなくなってしまうというものです。うつ傾向のある人は、本当に頭痛や腹痛が起こってしまうこともあったそうです。

 

世界的には「Blue Monday症候群」という言葉もありますから、月曜日が憂うつと考えるのは万国共通のようです。

 

このように、仕事のことを考えると憂うつになる人もいれば、仕事を楽しいと感じる人もいます。その差は、個人の問題と言ってしまえばそれまでですが、少なくとも筆者は会社の環境も大きく関係していると思っています。

 

個人の問題と言ってしまえばそれまでですが…
個人の問題と言ってしまえばそれまでですが…

 

まず前提として、自分がやりたい仕事にちゃんと就いていることは重要です。自分が好きな分野の仕事であればやりがいもあり、多少の苦労があっても頑張ろうというモチベーションを下げずに目標達成に向けて努力することができます。しかし、自分にはどのような業務が本当に向いているのかは、実際に経験してみないとわからないこともあります。

 

筆者は適材適所で、どう人員を配置するか。あるいは事業拡大するうえで、どの部署により多くの人材を補充すべきかなど、常日頃考えています。

 

働く人にとっても、いつも同じ業務を機械的にこなすだけで変化がなければ飽きてしまいますし、仕事への張り合いもなくなってしまいます。特に若い世代の人たちは、「これ以上この会社で新しく学ぶことはない」と思えば、他の会社に転職してしまうこともあるでしょう。

 

事実をネガティブに分析してしまう理由は…

もちろん、会社側の都合もあります。経営目標を達成するためにはどういった人材をどう配置すべきかを考える必要もあります。

 

筆者が経営する「税理士法人ネイチャー国際資産税」が今後も成長を続けるためには…と考えたとき、必要な人材タイプを明確にしたうえで、組織内の多様な人的資源を分類します。どの人材タイプがそれぞれ何人いるか、あるいは必要となるかを分析し、企業戦略や目標を実現するために最適な人材タイプの組み合わせを設計していきます。

 

人事異動や配置転換が必要になったときや新しいことにチャレンジするとき、自分はできるはずだという一定の自信が必要になります。すなわち自己肯定感です。自己肯定感が低い状態では、「異動させられたのは自分に何か問題があったからではないか?」「今まで経験したことのない部署での仕事には不安がある」など、事実をネガティブに認識するような先入観が働きがちです。

 

「楽しく仕事をする」ために必要なこととは?

筆者は、あくまでも本人の成長を願いつつも、企業戦略的な見地から適材適所の人事を行っているにすぎません。ですから、自分自身を肯定的に受け止められるように、その事実を伝え、期待していることをしっかりと伝えます。そのうえで、新しいことへのチャレンジを促したり、たとえ失敗したとしてもその経験をどう活かせばよいかというアプローチを行うことによって、自己肯定感の高い状態をつくります。

 

人は常に自分が日々成長していることを実感できれば、仕事への満足度は高くなりますし、楽しく仕事をすることができます。業務の熟練度が上がっていくことに楽しみを感じるのであれば、業務に集中することもできるでしょう。

 

何かに挑戦しようと、つま先立ちして頑張った経験は、その人にとっても会社にとっても決して無駄にならないと考えています。長い目で見ていくことが大事です。

 

重要なのは、チャレンジ精神を大切にし、新しい経験や人間関係を通して、次につながるアイデアや成長を得ることです。

 

そういった環境を実現できるように適宜考えて、組織の体制を調整していくようにしています。

「成長することに妥協しない」で全てがうまくいく!

仕事が高度になればなるほど、難しい問題にぶつかったり、厳しい局面を乗り切らないといけなかったりする場面が出てくるでしょう。しかし、その難しさ、厳しさを乗り越えることができれば、より大きな充実感が得られ、それは大きな自信となって、さらなる成長を生み出す原動力となるでしょう。

 

自らが成長することを妥協しないこと。妥協しないことは自身のためであり、顧客のためでもあるわけです。

 

芦田 敏之

税理士法人ネイチャー国際資産税

 

日本一社員が成長できる=幸せな会社

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芦田 敏之

クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

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