大企業製造業のDIは▲8
非製造業も大幅な悪化
■20年3月の日銀短観では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIが▲8と、前回19年12月調査のゼロから8ポイント悪化しました。これは、13年3月調査(▲8)以来の低水準で、7年ぶりのマイナスです。新型コロナの感染拡大による経済活動の停滞で製造業の景況感が大幅に悪化しました。3ヵ月後の先行き同DIは▲11と、更なる悪化が見込まれています。
■大企業・非製造業の業況判断DIは8と、前回調査から12ポイント悪化しました。悪化幅はリーマン・ショック後の09年3月以来の大きさです。感染拡大によるインバウンド(訪日外国人)の急減や外出の自粛などが影響しました。先行きの同DIは▲1と、9ポイント下落し、非製造業もマイナスへの転換が見込まれています。
20年度の設備投資計画は横ばい
新型コロナの影響が十分反映されていない可能性
■20年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比▲0.4%と、ほぼ横ばいで、景況感が大幅に悪化する中でも、底堅さを見せました。ただし、本調査の回収基準日は3月11日(回答期間2月25日~3月31日)とされており、回収基準日後に起きた海外の都市封鎖や東京都の外出自粛要請などの影響が十分に反映されていない可能性があります。
新型コロナの感染抑制に尽力、次回6月短観に注目
■今回の日銀短観は、新型コロナの感染拡大の影響が、製造業だけでなく、これまで堅調だった非製造業も直撃したことを示しました。大企業・非製造業の業況判断DIがリーマン・ショック時以来の落ち込みを見せ、特に宿泊・飲食サービス、対個人サービス、運輸・郵便などの業種の厳しさが確認されました。さらに、本調査の回収基準日後に起きた新型コロナの感染拡大の影響が十分に反映されていない可能性があることに注意が必要と思われます。
■当面は経済の停滞が続くことは避けられず、感染拡大に歯止めをかけることに全力を挙げる必要があります。日銀短観の大企業・製造業の業況判断DIと企業収益(予想EPS)の関係をみると、過去はほぼ同様の動きとなっており、次回6月の日銀短観が注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日銀短観、大企業製造業が7年ぶりのマイナス』を参照)。
(2020年4月2日)
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