市場は雇用統計を無視
市場の焦点は新型肺炎
■2020年2月の米非農業部門雇用者数は前月比27.3万人増となり、市場予想の同17.5万人増を大きく上回りました。3カ月移動平均も同24.3万人増と堅調でした。失業率は3.5%と前月から0.1%改善し、歴史的な低水準を維持しました。
■しかし、市場は雇用統計を全く好感せず、株式市場は大幅に続落、長期金利は過去最低を更新しました。雇用統計の調査期間は2月中旬のため新型肺炎の影響は限定的だったからです。市場の焦点は、広がりつつある新型肺炎の影響がどうなるかに集中しています。
■株式市場の織り込み具合を試算すると、すでに1.1%まで経済成長が減速するとの期待が織り込まれていることを示しています。
週明けも波乱相場
原油価格急落が拍車
■加えて、週末にはOPECとロシアなどその他主要産油国間の減産協議が決裂し、原油価格が急落しています。代表的な原油価格のWTIは30ドル台前半に落ち込みました。石油関連産業の業況悪化を懸念し、市場全体にリスク回避傾向が強まっています。
■日本時間11時半時点で、ドル円は102円程度に円高が進み、日経平均株価は1,200円以上下落して、19,473.07円で前場を終了しました。
新型肺炎の影響を見守りつつ、米当局の対応に注目
■市場でリスク回避の動きが加速するなか、最大の焦点は世界の新型肺炎の感染状況です。感染者数のピークアウトが待たれますが、中国のように厳しく人の移動が制限できないと早期改善が困難となるため先行きは予断を許しません。世界景気減速は避けられないものの、米国の政策対応が注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型肺炎や原油価格急落に打ち消される、堅調な米雇用統計』を参照)。
(2020年3月9日)
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