米株市場は最高値更新
米中「第1段階」の合意期待高まる
■12月12日の米国株式市場は、トランプ大統領の「米中合意が近い」とのコメントを受けて大きく上昇し、S&P500指数とナスダック総合指数は最高値を更新しました。日本時間9時時点で、まだ米政府から公式発表は出ていませんが、報道によればトランプ大統領は貿易合意を承認し、12月15日発動予定だった米国の対中輸入約1,600億ドル相当への追加関税が見送られるほか、既に実施済の約3,600億ドル分の追加関税の一部分の引き下げも検討されている模様です。
15日発動予定の関税見送りは予想通り
過去実施分の巻き戻しは好材料
■米中協議については、10月初旬の部分合意が近いとの報道後、詳細についての協議が両国間でなされてきました。金融市場では、12月15日実施予定の追加関税引き上げは見送られるとの見通しが多かったため、この点では今回の合意は市場にとって予想の範囲内と言えます。もし、過去実施分の関税が引き下げられることになれば、好材料と考えることが出来そうです。
■弊社試算では、9月1日に実施された米国の対中輸入約1,100億ドルに対する15%の追加関税が撤回された場合、世界経済に対して+0.2%程度の押し上げ要因となります(試算では1,000億ドルとして計算)。株式市場にも上昇要因となります。
株高を牽引してきた「期待」が実現へ、株式の上昇トレンドが続く公算
■同じく12日に実施された英国総選挙では、与党保守党が過半数を占めるとの出口調査結果が出ています。こちらも英国の欧州連合離脱(Brexit)の不透明感が薄れる点で株式市場にとっては好材料です。
■米中合意の内容は今後の発表を待つ必要がありますが、過去実施分の追加関税が引き下げられれば、今後の世界経済回復に対する強力な援軍となりそうです。株式市場はこの秋以降、米中協議の進展や景気回復への期待で上昇してきましたが、その期待が実現する可能性が高まりそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『英国総選挙も出口調査は与党勝利』を参照)。
(2019年12月13日)
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