「ナッツ」には食べないほうがいい「ナッツ」がある
前回まで(参照記事『実は「マヨラー」は、頭のいい食べ方をしていたという真実』)、食材や食べ方について、血糖値をできるだけ上げない上手な選び方や食事法を示しました。今回も、もう少し上手な食事法を紹介します。
本来であれば筆者が血糖値を測定すればいいのですが、たとえば「マヨネーズ」や「さきいか」について、それだけを食事として口にするということはありませんので、参考にしにくいと判断しました。
ただすべて筆者の経験から判断しています。
筆者が使っているリブレ*は、常時測定可能なため、絶えず自分の血糖値の変化を把握しています。それによって、細かい食材が血糖値に与える影響が、かなり分かってきましたので、一例を紹介しておきました。
※筆者が血糖値の測定に使う医療機器。上腕部にパッチを貼っておくだけで、携帯電話サイズの機器と連動して簡単に血糖値が測定できる優れもの。
【頭のいい食べ方①】
弁当はご飯を半分残す
クライアントとの会議の席で出される仕出し弁当。出張時に新幹線の中で食べる駅弁。ビジネスパーソンは、望むと望まざるとにかかわらず、業者がつくった弁当を口にする機会が多いはずです。
こういう弁当の「1人前分量」はあくまで業者が決めたもの。それを全部食べることはありません。筆者自身、弁当を食べるときには、おかず中心にしてご飯は半分残すようにしています。それが自分にとっての糖質1人前であるからです。
弁当に限らず、定食屋においても同じことが言えますが、自分で選べるのならいろいろなおかずが入ったものにしましょう。そして、自分の1人前を意識してご飯はなるべくその量までとし、あとは残しましょう。普段からこうした習慣を身につけていくことで、糖質中毒からの脱出が早まります。
【頭のいい食べ方②】
ナッツはいいけど、カシューナッツはダメ
糖質制限を行うときに、ナッツは強い味方になってくれます。ナッツは栄養価が高く糖質が少ない優良商品です。 小腹が空いたときのおやつや、お酒のつまみにナッツを活用してください。ただし、勾玉(まがたま)のような形をしたカシューナッツだけは、血糖値を上げます。
カシューナッツをかんでいると甘みを感じると思うのですが、まさに糖質がたっぷり含まれている証拠です。ミックスされたナッツを購入してこれが入っていたら、より分けて食べないようにしてください。
おすすめは、アーモンド、クルミ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツなど。こうしたものを単品で買って、自分でミックスするのもいいでしょう。
【頭のいい食べ方③】
スルメはいいけど、さきいかはダメ
干したするめいかをさいたものは、「あたりめ」とも呼ばれます。たいてい、お酒の友として食されますが、小腹が空いたときのおやつにもおすすめです。糖質をほとんど含んでいないし、固いために何度もかむことになり、脳の満腹中枢を刺激して空腹感を満たすことができるからです。
ただし、加工された「(ソフト)さきいか」はダメです。ベージュ色でフワフワしたさきいかには味付けがされています。かなりの糖質が使われているのです。筆者の患者さんに「これは食べていいんですよね」と、さきいかの袋を見せられ、慌てて訂正したこともあります。
繰り返します。スルメとさきいかはまったくの別物です。さきいかに限らず、加工されている食品には注意が必要です。
【頭のいい食べ方④】
チータラはいいけど、チーカマはダメ
良質のタンパク質が豊富なチーズ製品は、総じておすすめです。 今はナチュラルチーズもいろいろ種類があるので、飽きずにゆる糖質オフに活用できます。プロセスチーズについては、加工するときの添加物を指摘する声もありますが、筆者はそこまで気にしなくていいと思っています。
今は糖質中毒から脱出することが第一です。チーズを使ったおつまみもいろいろあります。「チータラ」という、チーズの両側を薄いタラで挟み、さきいかのように細く切った商品は食べてOK。というのも、あれはさきいかとは違ってほとんどがチーズだからです。
一方で、「チーカマ」はおすすめできません。前述したように、かまぼこなどの練り物はつなぎに小麦粉類が多用されていることから糖質が多いのです。
【頭のいい食べ方⑤】
コーヒーならデカフェを
コーヒーに含まれる抗酸化物質であるポリフェノールなどの成分に糖尿病を予防する効果があることが、さまざまな研究結果から明らかになっています。
ただし、カフェインはアドレナリンなどのホルモンの分泌を促し血糖値を上げます。また、カフェインは短期的にインスリンの働きを悪くすることも分かっています。となると、カフェインが含まれていないコーヒー(カフェインレスコーヒーとかデカフェと呼ばれるもの)を飲むのが一番いいということになります。
もちろん、砂糖は入れずに、ブラックかミルクのみを加えて飲んでください。缶コーヒーによくある「微糖」タイプもNGです。あれは、実際にはかなりの糖質が含まれています。
合言葉は「出汁をとるならカツオ節から」
【頭のいい食べ方⑥】
出汁をとるならカツオで
カツオ出汁には、インスリンの分泌を促す効果があることが分かっています。 インスリンが出れば、食後血糖値の上昇が緩やかになります。だから、血糖値を気にしている人にとって、「出汁をとるならカツオ節から」が合い言葉になるといえます。
鍋やみそ汁の出汁はもちろん、さまざまな料理にカツオ出汁を使いましょう。うどんやそばを食べるときは、なおさら出汁はカツオでとることをすすめます。出汁をとるというと、何やら本格的で大変そうに思われるかもしれませんが、沸騰したお湯に削り節を加え数分煮てガーゼなどでこすだけです。今は、紙パックに小分けされた簡易タイプも売られているので、それを利用してもいいでしょう。