企業年金制度について、従業員の関心が高まっている
<企業経営者から寄せられる声>
企業経営者の方から、
「従業員から、『いまは自分でiDeCoに加入しているが、会社で確定拠出年金制度は導入しないのか?』と聞かれた」
「中途入社の選考時に応募者から、『企業年金制度は会社にあるのか?』と質問を受けた」
といった声が多く聞かれます。
会社の制度として企業型確定拠出年金の制度導入を図れば、こういった質問へのポジティブな回答が可能になり、また、従業員のモチベーションの向上や優秀な従業員の採用にも有益に働くと考えられます。その点からも、企業型確定拠出年金の制度導入は、経営戦略上の重要な選択肢となるといえます。
同時に、経営者の方から「確定拠出年金制度は大企業向けだから、当社にはメリットはない」「当社は確定拠出年金制度を導入する資金的な余裕はない」といった言葉も聞くこともあります。
しかし、これは必ずしも正しい認識ではありません。
残念ながら現状では、企業型確定拠出年金制度に関する制度上のメリットや仕組みについて、経営者の間にも「情報格差」が存在しているのです。
<企業型確定拠出年金の普及状況は?>
上記のデータから、厚生年金被保険者の18.4%、つまり約5人に1人が企業型確定拠出年金に加入していますが、厚生年金適用事業所全体の1.4%が企業型確定拠出年金の実施事業所であることがわかります。
つまり、企業型確定拠出年金を制度導入している実施事業所が加入者数の多い(従業員が多い)企業であり、98.6%の厚生年金適用事業所が企業型確定拠出制度を未導入であることが現状なのです。したがって、今後も企業型確定拠出年金制度が継続的に普及する余地は大きいといえます。
働く期間もセカンドライフも、今後は確実に長くなる
<企業型確定拠出年金制度の仕組み>
最近、各種メディア等で「人生100年時代」をいうフレーズを見聞きする機会が増えました。どの企業で何歳まで働くのかは、個々人の事情や就業状況等によってさまざまですが、働く期間と退職後のセカンドライフは、今後、確実に長くなるといえます。さらに将来の公的年金に対する不安があることを考えると、企業型確定拠出年金が役に立つ制度であることも間違いないでしょう。
高齢期のための資産形成を行うには、年数を味方につける必要があります。その点、企業在籍中に毎月一定の掛金を積立運用*しながら、安定的な資産形成を目指す企業型確定拠出年金は、その条件に合致します。この確定拠出年金の制度導入を、さまざまな運営管理機関が担っています。
*通常、運用商品一覧として元本確保型商品(定期預金・保険商品)及び元本変動型商品(投資信託)がラインアップされており、加入期間中は加入者が運用商品一覧から商品を選択し、掛金の配分比率を決め運用を継続する仕組みになっています。また、運用商品の選択及び掛金の配分比率は加入者自身が行います。
<運営管理機関とは>
弊社・PWM日本証券株式会社は、IFAという独立した立場のファイナンシャル・アドバイザーを支援する専門証券会社であり、お客様の視点に立った資産形成を実践していますが、あわせて企業型確定拠出年金の制度を運営する専門的な金融機関として、厚生労働省と金融庁の承認を受けています。
主な業務は、事業会社で企業型確定拠出年金制度を制度導入するための会社規程の整備のサポートや規約の作成、窓口となる全国の地方厚生局に対する制度導入の承認申請手続き、加入者が投資する運用商品ラインアップ選定等となります。また、各事業所の企業型確定拠出年金施行後も、ケースによっては、事業所や加入者に資産運用や投資教育に関する情報を継続して提供しています。
弊社はどの企業系列にも属さない独立系証券会社です。企業型確定拠出年金への組入れ商品、とくに元本変動型商品(投資信託)のうち、長期投資に適した商品を中立な立場で厳選しながら、以下のような企業型確定拠出年金制度の税制優遇措置を仕組みとして、十二分に活用できる方法を提案しています。
<企業型確定拠出年金の3つの税制優遇措置とは(2019年10月現在)>
【掛金拠出時】掛金は非課税扱い
会社拠出の掛金は給与とみなされないため、掛金部分には税金(所得税・住民税)・社会保険料がかかりません(ただし、マッチング拠出の場合の加入者掛金は除く)。従業員が税引き前給与の一部を掛金として会社経由で拠出する場合にも給与とみなされません(会社の給与規程の改定は必要)。なお、購入する投資信託の購入手数料はかかりません。
【運用期間】運用益は非課税
一般の金融商品の運用益には税金がかかりますが、確定拠出年金で運用している場合は課税されず、運用益は非課税で再投資されます。
【受取時】年金もしくは一時金での受取・所得控除あり
年金で受け取る場合は、雑所得として公的年金等控除が受けられます。
一時金で受け取る場合は、退職所得として退職所得控除が受けられます。
税制上の所得控除を利用し、一時金受取を選択する加入者が89%を占めています(第2回社会保障審議会企業年金・個人年金部会2019年3月19日参考資料2より)。
以上のような手厚い税制優遇措置を受けることができる制度はほかにありません。長期間の加入期間(運用期間)での長期分散投資を毎月の掛金でさらに投資時期の分散を図りながら、将来の老後資金をこの制度を利用し形成することを会社の制度として導入することが、今後の企業経営において重要なファクターになると思われます。
(企業型確定拠出年金の制度導入に関わる注意事項)
●企業型確定拠出年金制度は厚生年金の適用事業所であることが設置の条件となり、制度導入には厚生労働省の承認が必要になります。
●企業型確定拠出年金では運営管理手数料の他、所定の手数料がかかります。
●原則として、加入者は厚生年金被保険者全員が対象となり、入社日に加入資格を取得致します。
●新規での加入者は60歳未満であることが条件となり、原則として、60歳になるまでに年金を受け取ることはできません。
●企業型確定拠出年金は、加入者の自己責任で運用商品を選択し配分比率を決めて運用する制度であり、運用の成果は加入者に帰属致します。
(当コラムに関わる注意事項)
●当コラムは、企業型確定拠出年金の仕組みや内容等の紹介を目的として作成されております。
●当コラムに記載のデータは、PWM日本証券株式会社が信頼できると判断した情報等に基づくものであり、情報の正確性・確実性についてPWM日本証券株式会社が保証するものではありません。
●当コラムは、作成日において入手可能な情報等に基づいて作成したものであり、今後の法改正や金融情勢・社会情勢等の変化により、内容が変更となる場合があります。
●当コラムは、法律・会計・税制上の助言をなすものではないため、法律・会計・税制上の取扱いについては各専門家にご確認くださいますようお願い致します。