10月に開催される「東京モーターショー2019」への出展は残念ながらないようであるが、この9月にはフラッグシップである「911ターボ」の新型、初となるフルEV(電気自動車)「タイカン」を発表するなど、そのイノベイティブな姿勢で話題を提供している高級自動車メーカーのポルシェ。近年、中古車市場での価格も、その人気から高値安定しているという。

支持されているポイントは運転の手軽さと熟成度

超実用的な「スーパースポーツカー」をラインナップに揃え、その揺るぎないフィロソフィーで世界中から支持される自動車メーカーがポルシェである。2018年の世界新車販売台数は、過去最高の25万6255台を記録。2019年の上半期でも、すでに13万3484台を売り、地域(単一国別)でいえば米国を抜いて中国がトップ、シェアが伸びている(前年比+28%)。

 

中でもやはり人気は日本同様、パナメーラ、マカン、カイエンといったセダンやSUVといった実用性を併せ持ったラインアップである。しかし、やはりポルシェの真骨頂はレースの現場で培った技術を投入し続けてきた、「911(992)」と呼ばれるフラッグシップモデルであろう。ベースとなっているデザインも1962年の登場以来基本的には変わらず、こちらも根強い支持を受け続けている。

 

「単純には比較できませんが、フェラーリやメルセデスといったメーカーにある派手さや、性能での圧倒的な優位性があるわけではありません。支持されているポイントはコンビニにもサクっと気軽に行ける運転のしやすさと熟成度でしょう。911でいえば、車体の後方に位置された水冷対向6気筒エンジンで駆動するRR(リアエンジン+リアドライブ)レイアウトがもう60年以上採用され、熟成を重ねてきました。

 

強力な加速力を持つスポーツカーでありながら、コーナーでのずば抜けた安定性、そして旋回性に優れ、スポーツカーにしては小回りも効くので実用性もピカ一です。この盤石な基本性能に加えて、その時代の最先端のテクノロジーがモデルチェンジごとに加わっていくわけです。そのあたりの技術力に関しては他を圧倒しています」(業界紙記者)

 

テクノロジーの徹底的な追求と論理的で完璧を求めるその姿勢は、ドイツの国民性とも重なり、「完璧すぎて乗りたくない」とまで揶揄されるほど、「工業製品」としての完成度は高い。少々ケレンミがあるイタリア車より、その完璧さ、徹底した合理性に”フェチ”的な魅力を感じて購入するIT系等の会社経営者が多いともいわれているのもうなずける。

 

4、5年前のクルマでも1000万円は切らない⁉

では会社経営者にも人気のポルシェ、社用車として(経費として購入)考えた場合はどうだろう。

 

まず一般的に、新車を買った時点で経費にできるものは、車体以外の自動車取得税・重量税、自賠責保険料、検査登録費用、車庫証明費用などである(購入後に装着したドライブレコーダーなどの備品も同様)。車体自体はすぐには経費とはならず、段階を踏んだ経費計上が基本となる。

 

新車普通車の耐用年数は6年。定率法(※1)であれ、定額法(※2)であれ、6年間に分けて減価償却費を「経費」として計上していくのが決まりだ。そして6年間の耐用年数が終わり、資産としての価値はなくなるが(1円)、それはあくまで帳簿上における数字。実際には中古車として「高値」による売却が可能であり、特にポルシェのような人気車であれば、いざというときには心強い “資産“となることはいうまでもない。

※1 定額法…耐用年数に応じて毎年同じ額の減価償却費を計上する。

※2 定率法…資産の残存価額に毎年同じ率をかけ、各年の減価償却費を計上する。

 

「全般的に中古市場でも極端に値が下がりにくいといわれているのがポルシェのクルマです。前述の911カレラでいえば、例えば空冷エンジンとして最終となったという付加価値が逆について1997年式でもいまだに800万円前後で取引されています。4、5年前のモデルでも「コンディションが良いものであれば」という但しつきですが、1000万円は切りません。

 

さらに日本の中古車は、世界的に見てもコンディションが良いものが買えるとして各国のバイヤーも市場に参入してますので、近年の相場は高値安定状態。昔はポルシェといえども、もう少し安く買えたんですけどね」(業界紙記者)

 

であればこそ、例えば会社の景気がよく、今年は儲かりそうだというとき等、早く大きく減価償却を計上したい場合には、新車より、中古車を購入を選択した方がそのメリットは大きいだろう。

 

中古車の耐用年数は、1年落ちで5年、2年落ちは4年、3年落ち3年、4年落ち以上は2年と決められている。例えば2年ですべて経費化したいということであれば「4年落ち」あたりがベストだろう。耐用年数は2年。定額法なら最初の年に半額、翌年半額、定率法では償却率は1.00。つまり買ってから、1年間で全額経費にすることも可能だからだ。

 

新車と比べればそのメリットは一目瞭然だろう。例えば1000万円の新車を購入した場合は、その年に計上できる減価償却費は334万円(耐用年数6年の償却率0.334)。一方、4年落ちで1000万円の中古車(ポルシェであるからこそ可能な価格)を同じように購入した場合、条件によっては最高で1000万円全額が減価償却費として計上できる(耐用年数2年の償却率1.00)。

 

減価償却を経費とするのは会社の設備投資的には間違いのない手段であるが、クルマの場合、やはり最終的にどれだけ「お金を生み出す」のかがカギとなる。これらを考慮の上、企業経営者としての視点で、質実剛健なゲルマン魂の塊ともいえる「ポルシェ」を購入する。今のところ悪くない選択肢といえるのではないだろうか。

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