2019年6月のバイオ医薬品市場

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

バイオ医薬品関連企業の株価動向

6月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。

 

[図表1]ナスダック・バイオテック指数 米ドルベース、月次、期間:2009年6月~2019年6月 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]ナスダック・バイオテック指数
米ドルベース、月次、期間:2009年6月~2019年6月
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

米連邦準備制度理事会(FRB)が景気減速に備えて金融緩和に転じる可能性が高まったとの観測や、米中間の貿易協議が合意に達するのではとの楽観論が再燃したことから、市場はリスク選好の展開となり、世界の株式市場は堅調に推移しました。6月には主要な学会が開催され、バイオ医薬品および生物医学分野でイノベーションが相次ぐ状況が示唆されましたが、とりわけ注目されたのががん学会の中では最大規模の米国がん治療学会議(ASCO)でした。複数の医薬品企業が先行きを期待させる治験結果を発表する中、アムジェン(米国)の精密医療(プレシジョン・メディシン)で使用されるKRAS阻害剤AMG510の良好な治験結果が注目されました。

 

精密医療分野では、年初来のバイオ医薬品セクターにおける買収の中では2番目の大型案件となったファイザー(米国)によるアレイ・バイオファーマ(米国)の買収(同:約110億ドル)も注目されました。アムジェンと同じく、KRAS阻害剤を開発中のブループリント・メディシンズ(米国)やミラティ・セラピューティクス(米国)も連れ高となりました。

 

株価が上昇した銘柄としては、ファイザーによる買収が発表されたアレイ・バイオファーマが挙げられます。また同社と競合するブループリント・メディシンズとミラティ・セラピューティクスも株価が大きく上昇しました。

 

ハロザイム・セラピューティクス(米国)は、同社の独自技術が注目され株価が上昇しました。サレプタ・セラピューティックス(米国)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬で競合するファイザーが発表した治験結果が、サレプタ・セラピューティックスが昨秋発表した治験結果ほどの薬効や安全性が認められなかったため、上昇しました。

 

株価が下落した銘柄としては、バイオヘブン・ファーマシューティカル(米国)が挙げられます。増資を行った後、近日中の買収はないとの見方が強まりました。エアリー・ファーマシューティカルズ(米国)は、発売後まもない緑内障治療薬の売上の失速が懸念されました。

 

[図表2]バイオ医薬品株価指数 ※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値 ※PSR:2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表2]バイオ医薬品株価指数
(ナスダック・バイオテック指数)の推移
※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値
※PSR:2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

今後のバイオ医薬品市場見通し

現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。

 

 

医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。

 

これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。

 

[図表3]今後のバイオ関連学会予定 ※バイオ関連学会予定に掲載の学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。 出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表3]今後のバイオ関連学会予定
※バイオ関連学会予定に掲載の学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

[図表4]注目のパイプライン ※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬 ※ライセンス供与された治療薬も含みます 出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表4]注目のパイプライン
※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬
※ライセンス供与された治療薬も含みます
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表5参照)。

 

 

[図表5]売上高の推移 米ドルベース、期間:2001年12月~2018年12月 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表5]売上高の推移
米ドルベース、期間:2001年12月~2018年12月
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表6参照)。

 

[図表6]今後2年間の売上高伸び率(年率)予想 時点:2019年7月16日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表6]今後2年間の売上高伸び率(年率)予想
時点:2019年7月16日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表7参照)。

 

[図表7]バイオ医薬品関連企業の売上高と株価の推移 期間:2006年12月~2018年12月(実績)、2019~21年(予想) ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出※2019年~2021年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表7]バイオ医薬品関連企業の売上高と株価の推移
期間:2006年12月~2018年12月(実績)、2019~21年(予想)
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数 ※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出 ※2019年~2021年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

バリュエーション

2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています(図表8参照)。

 

[図表8]ナスダック・バイオテック指数とPSRの推移 米ドルベース、月次、期間:2003年6月~2019年6月 ※PSR:株価売上高倍率。2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表8]ナスダック・バイオテック指数とPSRの推移
米ドルベース、月次、期間:2003年6月~2019年6月
※PSR:株価売上高倍率。2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年6月のバイオ医薬品市場』を参照)。

 

 

(2019年7月19日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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