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政治の混乱は落ち着く
財相辞任で金融市場は一時動揺
■7月9日、メキシコのウルスア財務公債相が辞任を発表しました。政権内での経済政策を巡る意見の相違を辞任の理由としており、この突然の発表で金融市場は動揺し、メキシコペソは一時2%超下落しました。
■オブラドール大統領は後任として同省次官のエレラ氏を充てる人事を発表しました。エレラ氏は市場から評価されており、メキシコペソは落ち着きを取り戻しました。
メキシコペソ
当面のトランプリスクは後退
インフレが落ち着けば利下げが視野に
■6月10日に予定されていた米国によるメキシコ製品への関税が回避され、メキシコにとって当面のトランプリスクは後退したと思われます。6月上旬に見られたようなメキシコペソへの大きな売り圧力は当面見込みにくい状況と考えます。
■金融政策については、メキシコ銀行(中央銀行)は6月金融政策決定会合で政策金利を8.25%に据え置きました。国内景気は1-3月期実質GDPがマイナス成長となるなど減速感が見られます。インフレが落ち着けば利下げの可能性が高まります。
為替とメキシコ国債インデックスの推移
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低金利環境で高金利通貨ペソへの需要が高まりやすい状況
■今後のメキシコペソについては底堅い推移を予想します。主に中国を対象とした米国の保護主義政策によるリスク資産の動きには引き続き注意が必要ですが、当面大きな売り圧力は見込みにくいと考えます。
■米欧中央銀行の金融緩和姿勢を背景に、メキシコ銀行は年内に利下げを行うと見られます。利下げが実施されればメキシコ経済は多少なりとも明るさを取り戻すことが考えられます。
■また、世界的な金利低下環境において利回りを求める動きからメキシコの相対的な金利の高さが注目され、メキシコペソの下支え要因になると見られます。
(2019年7月17日)
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2019年6月28日 メキシコの金融政策:金利据え置き(2019年6月)