M&Aは大企業だけのものではない
M&A(Merger and Acquisition:合併と買収)と聞くと大企業のことをイメージする方もいると思います。でも実は、日本のM&Aの約7割は中小企業だといわれています。
中小企業庁のアンケート調査でも10年くらい前から、親族間での事業承継は6割まで下がり、親族以外の承継が4割程度にまで上がってきています。M&Aはもはや大企業だけのものではなく、抵抗を感じる経営者も少なくなっていると思います。
中小企業のM&Aが増えているのは、一つには後継者不足があります。後継者がいない場合、従来なら会社を清算して、オーナー社長は引退するのがパターンでしたが、買い手があるのなら会社を存続させたいと考えるオーナー社長も増え、事業承継の一つの手法として確立しています。
M&Aで買われる中小企業というのは、投資価値などの魅力をもった会社です。魅力がなければ誰も投資などしませんから、企業価値があると判断されたわけです。こうした判断には専門性が要求され、専門家は経験値から売れる会社をある程度判断し、候補になれば会社の財務内容等を徹底精査します。
後継者不在の下請け会社を買収するケースも目立つ
日本での特に中小企業のM&Aを見ていると、ある種のパターンに気づきます。まず、上場会社が、下請け会社に後継者がいないため買収するパターンです。売り上げの多くを元請け会社に依存し、元請け会社もその下請け会社が廃業すると困るからです。
こうしたM&Aでは、オーナー社長が変な投資をしていないかなど、決算のタイミングや役員を派遣して調査することが多いようです。一方、同業者同士のM&Aは、オーナー社長自身が好まない傾向もあり、成立までのハードルが高い場合があります。
M&Aのマッチングでは、実際にはうまくいくケースばかりではありませんが、昔から町工場が林立していた地域にある、小粒ながらオンリーワンのキラリと光る町工場に、国内ばかりでなく海外からもM&Aの候補として調査に入るケースが増えてきているようです。