欧州不動産市場の魅力

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

欧州の不動産は、米国やアジアよりも資産価値が高く、資産の適切な管理を通じてリターンを上昇させることができます。

 

 

欧州の不動産への投資は、比較的新しい分野です。しかしながら、遅くやってきたことは必ずしも悪いことではありません、つまり、欧州の不動産業界はまだ未成熟であり、米国の不動産業界と比較すると、より成長の可能性があると見ています。また、バリュエーションの面では、アジアの主要な不動産関連投資よりも割安な水準です。

 

 

別の見方では、欧州の不動産に対する投資が不足していたことから、欧州の多くのビルがテナントのニーズに合わない状況となっています。

 

投資家は、不動産物件のリニューアルや用途変更などを通じて、貴重な投資機会を得ることができると考えます。

 

このような積極的なアプローチを採用することで、従来の不動産を取得して保有するだけの手法よりも、高いリターンが期待できると見ています。

 

重要なことは、現在の欧州経済において、個人も法人も自分たちのニーズに合った不動産に投資することが可能な立場にあるということです。失業率は低下し、オフィス占有率も平均すると93%に達しています(図表1をご覧ください)。

 

[図表1]EUの失業率とオフィス占有率 出所:ピクテアセットマネジメント
[図表1]EUの失業率とオフィス占有率
出所:ピクテアセットマネジメント

 

欧州で最も人気のある地域での市場占有率は95%、もしくはそれ以上となっています。歴史的に見ても、好条件の物件は不足していて、一つの物件に対して複数の取得希望者がいることになります。そして、このような状況は、競争を生み賃貸物件に対する高い成長をもたらします。

 

需要の変化

 

将来の不動産投資家にとって、最初に取り組むことは、商業用や住居用の建物に対するテナントのニーズの変化をつかむことです。

 

欧州の大都市では、10年前とは様変わりですが、情報技術関連の企業の方が、銀行よりもより多くのオフィスを利用しています※1。オフィススペース等を共有する共同ワークスタイルの結果として、仕事に対する柔軟な取組みが急速に重要性を増していることから、従業員一人当たりのオフィススペースは減少しています。ただし、それだけには留まらず、オフィススペースの広さだけではなく、共同ワークに応じた賃貸契約も作られています。

 

※1 CBRE

 

一方、住居用不動産については、人口統計学の変化に大きな影響を受けています。一人暮らしをする人が急激に増えていることから、建設業界はかつての建築件数を確保できていません。(図表1をご覧ください)。ミレニアル世代(2000年代に成人、社会人になる世代)は、都心の近代的なアパートを好む傾向にありますが、これらの物件は品薄です。同時に、熟年世代はもっとシニア層に向いた住宅の需要を高めています。また欧州諸国は、海外からの留学生が多数来るようになり※2、背景として大学において英語での授業が増えていることがあげられます※3。このような状況は、中国で芽吹いている中間所得層に限らず、アジアの富裕層が増えているといった状況があります。

 

※2 "Academic staff joint mobility study", European Commission, Chinese Ministry of Education, 2011

※3 "English-taught bachelor's programmes" A-M Sandstrom, C. Neghina, 2017

 

[図表2]EUの建設状況と一人暮らしの比率 出所:ピクテアセットマネジメント
[図表2]EUの建設状況と一人暮らしの比率
出所:ピクテアセットマネジメント

 

売や物流の分野では、米国やアジアの多くの国と比較して、欧州のeコマースはまだ普及していないことも、成長の機会になると見ています。

 

今や全業種において、環境問題への関心が高まっています。そのため、建物の建築から運営に至るまで、建物の効率性の向上や環境汚染を防ぐことが求められています。

 

 

その他のこととして、「空間のサービス」があげられます。仕事でも睡眠でもリラックスするのでもいいですが、現在人々は追加のサービスを求めています。例えば、オフィスの中のネットワーク作りや社交のスペースであったり、コンシェルジュ・サービスやジムをアパート内に設置したり、いつも行く出張先に保管スペースを確保したりすることです。的確なサービスを、的確な方法で提供することによって、レンタル収入の向上につなげることが可能です。

 

積極的なマネジメント

 

不動産の資産管理について、ピクテは4つの手法を確立しています。

 

まず1番目として、リニューアルと用途変更があります。これは、稼働率の良くない物件を取得のうえ、強力なコアの資産としてよみがえらせることです。例えば、伝統的なオフィスを、近代的かつ独創的なものに改装して、情報技術会社のニーズに応えたり、まったく異なった用途向けの中古物件とすることができます。

 

2番目は、フロアを増やしたりレイアウトを変更することによって、リース可能な物件のエリアを拡大することです。例えばビジネス用のホテルの宿泊客は、部屋の広さよりも寝心地の良いベッドや便利な設備を重視することから、好感度や品質を改善しつつ、部屋数を増やすように改装することがあげられます。

 

3番目は、賃貸物件内で、例えばコンシェルジュ・サービス、クリーニングもしくは各種イベント等を提供することによって家賃を引き上げることです。4番目は、「買って建てる」、すなわちいくつかの小規模な物件を取得して、一つの大きな物件に建て替えることによって、主要な機関投資家にアピールすることです。

 

立地条件について

 

通常、人は不動産を考える時には自分の国を優先しがちです。不動産は地域密着型ビジネスのため、まず地元で始めることは理にかなっています。しかし、どんな投資においても分散投資は重要です。欧州全体への投資は、様々な国と国民の活力によって、数多くの投資機会を提供しています。

 

例えばスペインは、未だ2008年の不動産バブルの崩壊からの回復途上です。首都のマドリードは、ロンドンやパリ同様に、国際都市としての変革を遂げつつあります。これまでスペインの不動産価格はボトムからの半値戻しに留まっていて、今後とも大きく上昇する可能性があります。ドイツは、欧州最大の経済国で、特にベルリンにおける情報技術産業で栄えています。一方北欧諸国は、着実な経済成長を続けています。北欧は相当地域密着型の傾向があり、地元からの強い需要があります。

 

もちろん、英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)の不透明感があるものの、主要な不動産市場である英国を無視するわけにはいきません。ブレグジットは今後、もしくは既に、不動産価格の変動性と、所有者および投資家の両方からの需要減退をもたらしています。しかしながら、ロンドンは今後とも国際都市であり続け、不動産市場の混乱は、特に英国から撤退もしくはビジネスをやめることによる売り物件に、興味深い投資機会があると見ています。

 

欧州全体ををベースとした投資家は、特に魅力的な価格の市場外の物件にアプローチできるという、立地上の優位性があります。業種や地域をまたいで柔軟に物件を観察することによって、タイミングよく最適の物件に取り組むことができると考えます。

 

不動産投資は、集中的な物件管理へのニーズが高まっていて、従来の取得して保有するだけでは得られない、より魅力的なリターンを生み出しています。どこに付加価値があるかを見極めて、積極的なアプローチを実行し、このような流れから投資化のリターンを最大化する手助けとなります。

 

[図表3]不動産投資による利益 出所:ピクテアセットマネジメント
[図表3]不動産投資による利益
出所:ピクテアセットマネジメント

 

[図表4]相関係数 出所:ピクテアセットマネジメント
[図表4]相関係数
出所:ピクテアセットマネジメント

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『欧州不動産市場の魅力』を参照)。

 

 

(2019年5月27日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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