実践的基礎知識マクロ経済編(3)<GDP成長と景気>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

GDP成長と景気

国内総生産(GDP)とは、1年間に一国内で生産されたモノ(最終財)とサービスの付加価値の合計額です。では、GDPが増えると国は豊かになるのでしょうか?実は一概にもそうとは言えないようです。そこで、「実質的にどれくらい国が豊かになったか」を測る物差しとして登場するのが実質GDP成長率です。この実質GDP成長率と景気の関係について見ていきましょう。

国が豊かになるとは?

今回もバナナ共和国の例を通じて、国が豊かになるとはどういうことかを考えていきます。前回、バナナ共和国には新たな住民が増え、経済の効率が上がることでGDPが増えた例を紹介しました。今回はGDPが増加することと国が豊かになることの関係を見ていきましょう。

 

最も簡単にGDPを増やす方法は、インフレを起こすことです。たとえば、インフレ政策により突然あらゆるモノの値段が一斉に2倍になったとすると、全員の売り上げと、原価とコスト、そして利益が全て2倍になりますので、GDPも2倍になります。

 

そうすると確かにGDPは2倍になりますが、稼いだお金で買えるモノの値段も同時に2倍になっています。そのため、稼げるお金が2倍になっても、買えるモノの数量は変わらない、すなわち、稼いだお金でモノを買う力は全く変わっていないことになり、結局誰も豊かになっていないことが分かります。これでは国が本当に豊かになった、本当に成長したとは言えません(図表1)。

 

[図表1]バナナ共和国のGDP
[図表1]バナナ共和国のGDP

 

物価が2倍になることで売上も利益も2倍となりましたが、一方で定食屋の定食は450円から900円に、肉屋の肉も500円から1,000円に他の物品の価格も2倍に上がっているため、モノを買う力は増えていないことになります。

 

このように、「実質的にどれくらい豊かになったのか」を知るには単なる名目上のGDPの増加率だけを見るのではなく、そこから物価の上昇率を差し引くことで初めて、物価のかさ上げ効果を取り除いて実質的な経済成長を測ることができるのです。

 

今回の例でいえば、

 

 

実質成長率=名目成長率-インフレ率

=100%-100%

=0%

 

というように、名目成長率が100%でも、実質成長率は0%と、実質的には全く成長していないことが分かります。

 

経済成長率と景気の見通し

私たちは日常的に景気が良いとか悪いと言う言葉を使っていますが、この意味について考えてみましょう。例えば「来年は景気が良い」とは、来年の方が今年よりも経済活動がより活発となっている状況を予測していることになります。一つの目安として、今年の経済の実質成長率よりも来年の経済の実質成長率が高いと予想している、ということになります。

 

因みに今年の実質成長率を計算するには、昨年と今年のGDPとインフレ率が必要となります。さらに来年の実質成長率を計算するには、今年と来年のGDPとインフレ率が必要になりますので、肌感覚で簡単に予測できるものではありません(図表2)。

 

[図表2]経済成長率の計算方法 ※理解しやすくするために年次で計算する場合を示していますが、四半期毎でも考え方は同様です。
[図表2]経済成長率の計算方法
※理解しやすくするために年次で計算する場合を示していますが、四半期毎でも考え方は同様です。

 

例えば、ある国の2015年のGDPが100兆円、2016年のGDPが110兆円と1年間でGDPが10%増えたとします。これは名目上経済が10%成長したように見える(名目成長率10%)ということです。一方で、電気代が3,000円から3,150円へ、米10kgの値段が4,000円から4,200円へと、モノの値段が平均5%上がったとすると、その分同じお金でもモノを買ったりサービスを受けられる量が減っている(インフレ率5%)ことになります。このインフレ率を先ほどの名目成長率から差し引くことで、GDPは実質5%(=10%-5%)成長したことがわかります(実質成長率5%)このように、実質GDP成長率の予想には、2年分のGDP額とインフレ率の予想が欠かせません。

 

世界各国から集めた情報を専門家たちが分析したうえでこうした数値の予想をし、各国の実質GDP成長率の見通しを発表している国際機関の一つがIMF(国際通貨基金)です。IMFの予想は世界中の様々な機関や投資家が注目しています。皆様も機会があれば是非チェックしてみて下さい。世界経済の「今」や「歴史」、IMFのエコノミストによる「将来予測」を見ることができます(図表3)。

[図表3]IMFの経済成長見通し(2017年4月データ)  ※インドは年次ベース出所:IMFのデータを基にピクテ投信投資顧問が作成
[図表3]IMFの経済成長見通し(2017年4月データ)
※インドは年次ベース出所:IMFのデータを基にピクテ投信投資顧問が作成

 

データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識マクロ経済編(3)<GDP成長と景気>』を参照)。

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTET・投資初心者のための実践的基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧